イナゴ
□狩屋と天然
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昼休みの教室、俺は窓の方を向いていた。
天馬くんは信助くんたちと仲良く話してんだろうな。
勿論、他の奴等も。
くっだらねえ。
「今日も部活、あるんだろうな……」
一人で呟く。窓の外に広がるのは雲一つ無い青空。
また影山くんでも苛めようかな?
あ、でもまた霧野先輩になんか言われるからやめよ。厄介だし。
そんな事をごちゃごちゃと考えている時だった。
「かーりーやーくーん!!」
一人の女子生徒が大声で叫びながら俺の所に向かって来た。
「チッ……みょうじかよ……」
俺は小さく舌打ちをする。
コイツは同じクラスの変な奴だ。
話しかけられたと思ったら訳の分からないことを喋るし、時折演技をしているのではないかと思うくらいのボケを発揮させる。
「……何?」
取りあえず、俺は猫を被ってコイツと話す。
「狩屋くんって、育てられたの?」
「…………は?」
唐突にどうしたんだ、この人。
まあ、育てられたって言えば育てられたけどさ。
……何でみょうじが知ってんだよ。
天馬くんから聞いたのか?
ま、どうでもいっか。
「まあ、小学五年生の頃から」
「へえぇ! そうなんだ!!」
みょうじが目をキラキラと輝かせている。
……この話、何処に興奮する要素があった?
彼女はまた質問をする。
「じゃあさ、何処で育てられたの? 海? 動物園?」
「なんでそうなるんだよ!」
みょうじの可笑しな質問に、つい俺はツッコミを入れてしまった。
本当、彼女の頭に何があったんだ。
「違うの?」
「絶対違うでしょ。つか、なんで海で育てられるんだよ」
「え? だって葵ちゃんが、『なまえちゃんって天然だよねー』って言ってたから、じゃあ他の人は養殖なのかなーって思って、狩屋くんに聞いてみたの」
「…………」
爆弾が投下されたような気がした。
『天然』違いだろ、それ。
俺は呆れて盛大な溜め息を吐いた。
「かーりーやーくーん!」
時は変わり翌日の休み時間。
またアイツが俺のところにやって来た。
「……今度は何?」
「松風くんから聞いたんだけど、狩屋くんって、何でも信用する人が嫌いなの?」
「……?」
ああ、いつも天馬くんや信助くんと一緒に話しているからな。そこでたまたま聞いたんだろう。
でも一体、天馬くん達はいつもどんな話をしているんだ?
「うん。昔に色々とあってね、人を信じれなくなったんだ」
「親が騙されたんでしょ?」
「………………」
やっぱり天馬くん達は俺を話題に何を話してるんだ!?
俺は心情やら色々とみょうじに悟られないように、苦笑いを浮かべる。
「まあ、そうだね」
「じゃあさ、じゃあさ、狩屋くんが他に嫌いな人は、どんな人がいるの?」
また質問を投げ掛けられた。
この人、質問するの好きだよね。
「え? 他に嫌いな人かぁ……。訳の分からないことを喋る奴……とか?」
一瞬みょうじがきょとんとした顔で俺を見る。しかし、すぐにいつもと変わらない顔に戻り、
「つまり、狩屋くんは外国の人が嫌いなんだね」
と、笑顔で言った。
お前のことだよ!
俺は彼女が嫌い。
でも、いつも彼女の話を聞く。
要するに、俺は彼女と話すことは嫌いではない……のかもしれない。
(あれ、外国の人じゃないの? 訳の分からないことって英語のことじゃないの?)
(んな訳あるか!)
よく分からん話になった ;
狩屋の口調があまり分かりません……。
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