ろんぐ
□第5話
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放課後、ハオは久しぶりに女の子数人に囲まれていた。
なつきにとってその話は恐ろしいものだった。
「麻倉くん、劇出てくれないかな??」
「麻倉くんが出てくれると、客の入りもいいだろうしやる気も出るし」
「だからお願いっ」
そのはなしを後ろでされてなつきの背中に冷や汗がつたう。
お願いだから屋上で言ったことは言わないで、と。
しかし空気を読んでくれないハオ。
「なつきが出るなら、僕も出るよ」
背中に女の子たちの視線を痛いほど感じる。
「志摩さん、もちろん劇出るよね」
「クラスのことだもの。協力しないわけないよね」
もはやお願いでもなんでもない。
これほどまで、女の子が恐ろしく見えたことはない。
「は、はい……」
迫力に負けました。
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