あたしの願いが叶うなら
□15話
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まぶたを開く。
そのまま窓を一瞥し、時計を見た。
アラームが鳴ってないと思ったら、セットした時間より1時間早い。
「掃除しようかな…」
思いつきがそのまま呟きとして出る。
そうと決まったら準備しよう。
洗面所で顔を洗って歯を磨き、制服に着替えて身なりを整えてから台所に向かった。
今日から衣替えだから半袖は新鮮だ。
「おはようございまーす!!」
「春瀬殿、おはようございます。
いつもよりお早い起床ですね」
「テッサイさんほどじゃないですよ!」
台所に立つテッサイさんは朝ごはんの支度をしていた。
弁当もできているのか、桜色の風呂敷に包まれた弁当箱らしきものもある。
「お弁当ありがとうございます。
今日は何を作ったんですか?」
「それは昼になってからのお楽しみですぞ」
あまり表情を変えない人だけど、声を聞けば楽しげに笑ってるように思えた。
「早く起きたんで今日は外の掃除をしますね。
他にどこかするところはありますか?」
「…そうですなぁ…。
それでは、出入り口のガラス戸の掃き掃除をしてくれますかな?」
「了解です!」
商品棚の隅に置いてるホウキとチリトリを手に外へ出る。
風はないけど涼しくて、朝の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
掃除を初めて10分過ぎてからだろうか。
ガラス戸の拭き掃除に突入した時、意外なお客さんがやって来た。
「おはよう、春瀬」
「おはよう。
ルキア早いね」
ルキアはなぜか上着を着ていた。
「あれ?
今日から夏服だよね?」
「うむ。
うっかりしてた」
ルキアは清々しいほど笑顔だった。
「済まぬが店長を呼んでくれるか?」
こんな朝早くに喜助さん起きてるかな?
朝食の時に顔を合わせるから、正直いつ起きてるかは知らない。
「ちょっと見てくるね」
早足で喜助さんの部屋を目指した。