あたしの願いが叶うなら

□15話
2ページ/14ページ

15-1

まぶたを開く。
そのまま窓を一瞥し、時計を見た。
アラームが鳴ってないと思ったら、セットした時間より1時間早い。

「掃除しようかな…」

思いつきがそのまま呟きとして出る。
そうと決まったら準備しよう。

洗面所で顔を洗って歯を磨き、制服に着替えて身なりを整えてから台所に向かった。
今日から衣替えだから半袖は新鮮だ。

「おはようございまーす!!」
「春瀬殿、おはようございます。
いつもよりお早い起床ですね」
「テッサイさんほどじゃないですよ!」

台所に立つテッサイさんは朝ごはんの支度をしていた。
弁当もできているのか、桜色の風呂敷に包まれた弁当箱らしきものもある。

「お弁当ありがとうございます。
今日は何を作ったんですか?」
「それは昼になってからのお楽しみですぞ」

あまり表情を変えない人だけど、声を聞けば楽しげに笑ってるように思えた。

「早く起きたんで今日は外の掃除をしますね。
他にどこかするところはありますか?」
「…そうですなぁ…。
それでは、出入り口のガラス戸の掃き掃除をしてくれますかな?」
「了解です!」

商品棚の隅に置いてるホウキとチリトリを手に外へ出る。
風はないけど涼しくて、朝の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

掃除を初めて10分過ぎてからだろうか。
ガラス戸の拭き掃除に突入した時、意外なお客さんがやって来た。

「おはよう、春瀬」
「おはよう。
ルキア早いね」

ルキアはなぜか上着を着ていた。

「あれ?
今日から夏服だよね?」
「うむ。
うっかりしてた」

ルキアは清々しいほど笑顔だった。

「済まぬが店長を呼んでくれるか?」

こんな朝早くに喜助さん起きてるかな?
朝食の時に顔を合わせるから、正直いつ起きてるかは知らない。

「ちょっと見てくるね」

早足で喜助さんの部屋を目指した。











次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ