あたしの願いが叶うなら
□1話
2ページ/12ページ
1-1
買ったばかりの最新刊には見知らぬキャラが描かれている。
「やっと出たよ〜」
新しいシリーズに入るらしいけど、どんな感じで物語が進むんだろう?
心の底から気になったのはBLEACHが初めてだ。
コミックス派だから、本屋が開店したと同時に購入した。
帰りに歩きながら読むのも生まれて初めてだった。
こんなにわくわくするなんていつ以来だろう?
最初のページを開こうとした時、ドン、と後ろから誰かがぶつかってきた。
意識が手元にいってたため、反応できずに転倒する。
「いった!!!」
誰だよ今ぶつかってきたの!!
すぐ確認すれば、帽子とマスクにグラサンの怪しい格好をした奴が立っていた。
手には包丁。
刃の部分には全部血が滴っていて、刺されたんだと自覚した。
そいつはすぐにあたしから離れ、あっという間に姿が見えなくなる。
助けを呼ぼうにも周りに人は見当たらないし、最悪なことに携帯も家に忘れてしまっていた。
早く人のいるところに出ないと…!
力が出なくて、歩きたくても立てなかった。
這いずるように進もうとするけど、遅れて痛みもやってくる。
「どうして━━━━」
あたしなんだろう?
どうして今なんだろう?
助けてくれる人も誰ひとりいなくて。
ねぇ、あたし、何か、した?
「せめて、最後ぐらい、続きを…」
見ようとしたけど、地面に落ちたBLEACHにすら手が届かなくて。
心臓がドクンと強く脈打ったのを最期に、あたしの意識は闇へと墜ちた。