あたしの願いが叶うなら

□12話
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12-1

彼女の名前は朽木ルキア。
この子が喜助さんの言っていた死神だ。

あたしを部屋へと連れ戻した彼女は、スケッチブック片手に丁寧に説明してくれた。

そして、虚を倒すために一護に死神の力が移ったことも。
彼女は死神の力の回復を待つため、人間の身体に入っているそうだ。

「どうしてあたしにこの話を?」

一心さん達の記憶から虚に関することは消されたそうだ。
でも、あたしはちゃんと覚えている。

「もちろん、お主にも記憶置換を施した。
だが、拒絶反応が起きて弾かれてしまったのだ。
こんなことは初めてで、私も浦原も困惑してな。
真実を話すことを決めたんだ」
「じゃあ、その拒絶反応が起きなかったらあたしは虚が襲った出来事を忘れたってこと?
喜助さん、記憶を消すって分かってたの?」
「分かってるもなにも、これは浦原から渡されたものだ」

彼女が見せたのはライターだった。
それが彼女の言う記憶を消す装置?
死神を支援している、という喜助さんの言葉を思い出す。
吐き気が込み上げてきた。

「…出てって」

あたしの呟きは彼女に届かなかった。
首をかしげている。

「お願い。
あたしを一人にして」

ハッキリと言葉にすれば、彼女は辛そうな表情で部屋を出ていった。
気配が遠のき、誰もいなくなる。

「どうして」

喜助さんは、記憶を失ったことを知ってるのに。

「どうして…!」

なんで記憶を消す道具をあたしに使うことを許したんだろう。

「どうして何も言ってくれないの?
記憶消すかどうか、なんで選ばせてくれないの!」

もうこれ以上あたしから“あたし”を奪わないで。











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