D.Gray-man長編

□第2夜 マテールの亡霊
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【古代都市 マテール】


今はもう無人化したこの町に
亡霊が棲んでいる―――

調査の発端は地元の農民が語る
奇怪伝説だった

亡霊は、かつてのマテールの住人

町を捨て移住していった仲間達を怨み
その顔は恐ろしく醜やか


孤独を癒すため、

町に近付いた子供を引きずり込むと云う





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何て人間は勝手なんだろ
勝手に作って
勝手に捨てて
勝手に人間はきえた
つくづく人間の馬鹿馬鹿しさにため息が止めどなく出てしまいそう
自分も半分は人間だけどね







刹那




ゾクッ




『「「!!!」」』




目の前に広がるのは寂れた町

「ちっ、トマの無線が通じなかったんで
 急いでみたが…」

『…』



イノセンスはまだ無事らしい




「おい、お前」




神田が喋る




「始まる前に言っとく。

 お前が敵に殺されそうになっても
 任務遂行の邪魔だと判断したら
 俺はお前を見殺しにするぜ。

 戦争に犠牲は当然だからな。
 変な仲間意識持つなよ」

「…嫌な言い方」




まさにその通り

『(自分の身は自分で守るのが常識…)』

ドンッ―…




『アレン!』


「あの馬鹿。
・・・オレは人形を運ぶ。お前はレベル1をやってくれ。そのあとは俺についてこい」


『わかった。またあとで』
「あぁ。・・・いくぞ六幻」







抜刀!

















『私も行くか・・・』






転換!




イノセンス発動!!



夜月が腰に差している剣を抜き次々と倒していく


「あーっ!!?もう1匹いた!」

アレンとレベル2が戦っているスキに、神田は人形を運び出した。

『…アレン、助けようか?』


「来ないで下さい!夜月!!早く神田のところへ!
こいつは・・・

僕が破壊します・・・!」

『・・・わかった。じゃあ、またあとで』





































ジリリリリン―…!

「夜月か」

『ユウ、今どこ?』

「町のてっぺんの教会の下だ」

『今からそこに向かうね』

「モヤシはどうした」

『アレンは1人でやるって言ってた』

「置いてきたのか。お前らしくねぇーな」

『そう?・・・そうなのかな』





















神田と夜月は神田が運んだ2人の案内で地下通路を進むこととなった。

「さて、それじゃ地下に入るが道は知ってるんだろうな?」

「知って・・・いる」
「グゾル・・・」

「私は・・・ここに五百年いる。知らぬ道は無い」

グゾルと呼ばれた人形はおもむろに帽子を取り、神田と夜月に顔を曝した。
が…夜月には、彼が人形には見えなかった。
むしろ隣の女の子が人形に見えた



『(この女の子が・・・人形・・・?)』

「くく・・・醜いだろう・・・」

「お前が人形か?話せるとは驚きだな」

「そうだ・・・お前達は私の心臓を奪いに来たのだろう」

「できれば今すぐいただきたい」

『…。まだアクマは倒せてないし…油断大敵だからね』

「あぁ。デカい人形のまま運ぶのは手間がかかる」


女の子は慌ててグゾルを庇った
地下の道はグゾルしか知らない。



『(神田も違和感を感じたのかな)』


その時、狭い路地からトマがやってきた。


どうやら、ティムキャンピーを連れて戻ってきたらしい。
ティムは粉々だったが自分で元の形に戻った

『トマ!アレンは・・・!?』


「ウォーカー殿はアクマに吹っ飛ばされてしまい、トマとはぐれてしまいました」

『・・・でも、アレンなら大丈夫ね・・・。』

「ティムキャンピーです」

「お前が見たアクマの情報を見せてくれ、ティム」

ティムキャンピーはギギギ・・・と歯のはえ揃った口を大きく開けて、アクマの情報を見せた。


『左右逆…』

「あぁ、鏡のようだ」

神田と夜月は冷静に分析する

「逆さまなんだよ、このアクマ。
見てみろ。奴がモヤシに化けた時の姿・・・
服とか武器とか・・・
左右逆になってる」

「モヤシ?」
『アレンのことだよ』

夜月がつぶやく


「ほら、切られた偽者もよく見ると逆・・・
しかも偽者は中身はカラで360度外見だけのもの。
ただ単に「化ける」能力じゃない・・・
こいつは何かで対象物を写し取ってる・・・というべきか」


『アレンの左腕を変形させて攻撃してるってことは、写し取ったそれを装備するとその能力を自分のものにできるみたい・・・』

「ちっ、やっかいなモン取られやがってあいつ・・・」

「ウォーカー殿を探すべきでございました」

『トマのせいじゃないよ』

しゅん・・・とするトマを夜月が慰める。

「もしウォーカー殿が生きてても、現れた時本物かどうかわからないです」

「それは大丈夫だろ。左右逆になってるんだからすぐわかる。もしそんな姿でノコノコ現れたらよほどの馬鹿だろうな」



「(いくよグゾル・・・)」
「ああ」




『ん?あれ?2人は・・・!?』


2人の後ろについて行って曲がり角を曲がると2人の姿は消えていた


「いない!!に゛っ・・・逃げやがった!!!
くそ!あいつらどこに・・・」





「!!神田殿、夜月殿、後ろ・・・」


























そこに現れたのは左右逆のアレンだった。
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