D.Gray-man長編

□第13話 食事会
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そう言ったティキだが、アレン達は警戒心丸出しの表情でティキを見ている。
当たり前と言えば当たり前なのだが。
そんな彼らにティキは大きく息を吐くと言った。





「罠なんか仕掛けてねぇよ。イカサマはしないって言ったろ?」





その時ロードがアレンに抱き着き小さく耳打ちした。





「大丈夫だよぉアレン♪出口(ボク)の扉はこの塔の最上階にちゃんと用意してあるから」

「………ちゃんと外に通じてればいいんですが」

「ふふ♪」


「話したいことって何ですか。ティキ・ミック卿…それとも"手癖の悪い孤児の流れもの"さん?」





明らかに厭味の含まれる言い方にも関わらずティキは特に気に留める様子も見せず言葉を返す。





「そうツンツンすんなよ少年。ノアをパンツ一丁にしたエクソシストなんて少年が初だぜ?俺らって縁あると思わん?」

「別に。カードでパンツ一丁にした人なんていっぱい居ますから」

「おおう。黒い発言!」

『ザマァミロ』

「うるせー」





同意を求めたティキの言葉を気持ちいいくらいザックリ切り捨てたアレン。
それからアレンは左手を掲げて核心に迫った。





「………この左腕(イノセンス)のことですか?」






途端、ティキの表情が変わった。





「実は結構衝撃だったんだよね。確かに壊したハズなんだけどな」

「壊せてなかったんでしょう?ここに在るんだから」





不敵に笑ったアレンをティキは睨む。
暫し睨み合うアレンとティキだったが、不意にロードが口を挟んだ。





「おっ?イノセンスに興味出てきたぁ?ティッキー?」

「ちょっと出てきた。じゃさ、少年…」





ティキはもう1つの疑問を口にした。





「ティーズに心臓を喰われても生きてたのはその左腕のせいなのって本当か?」





瞬間、ラビとリナリーが驚きアレンに詰め寄る。
それを肯定するかのようにアレンは言った。





「左腕(イノセンス)の一部が心臓の一部になってくれてます。問題ありませんよ」

「リンから話には聞いていたけど…半信半疑だったんだよなぁ………まさか本当とは」

『酷い言い方』

「悪かったって」



私を睨むも、私はティキから視線を逸らした。

ティキから目を逸らしたことで視界に入ったラビ。
彼は顎に手を当て何かを考え込んでいた。

あぁ…ブックマンとして記録してんのか。
そりゃ珍しいわなぁ…
イノセンスが適合者を救っただなんて

そのラビが突然弾かれたように顔を上げてロードを見た。
ロードは人差し指を口に当て、ラビに静かにしてろと合図する。
そんなやり取りを知ってか知らずかティキは煙草に火を付け口を開く。
その刹那、ティーズが静かに彼の手から飛び立ったのを、私は見た。





「ロード。そろそろ少年から離れてくんない?」

「え〜〜愛してるのにぃッ」

「あの…」

アレンは呆れていた


『エクソシストとノアの恋は実らないよ?知ってるでしょロードちゃん?』





とは言っても彼女がどこまで本気なのかはイマイチ分からない。
呆れた表情を見せていたティキだが、言葉を紡ぎ続けながら席を立った。





「俺ね、千年公の終焉のシナリオっての?遊び半分で参加してたんだけどさ…やっぱ悪はそうでなくっちゃぁなぁ。
うん。少年のおかげでちょっと自覚出てきた」





ティキは紫煙を吐き出す。





「退治?本気でやんねぇとなってのが分かったわ」





そこでティキはその手を私に伸ばし、腰に回す。
いきなりの出来事に抵抗すら出来なかった私を余所に、彼は真っすぐにアレンを見据えたかと思えば勝ち誇ったかのような笑いを浮かべて言った。





「それに…俺達には勝利の女神様がついてる。リンっていう……唯一無二の女神様がな」

『もう、かってに言ってれば?』

「っ!!!」





ティキの言葉に目を見開いたアレン。
しかし次の瞬間、アレンの左腕は目にも留まらぬ速さで何かを捉えた。



―バンッ―



「ティキ・ミック。僕も1つ言っときたいんですが…」





アレンの左手の指は、先程ティキが放ったティーズを捉えていた。
そのティーズはリナリーを狙い放たれたもの。





「これ以上…僕の仲間に手を掛けたら……………僕は貴方を殺してしまうかも知れません」





そしてアレンはテーブルに飛び乗り、ティキ目指して走った。





「リナリー信じてて。アイツは、僕が行く。神田のかわりちゃなんですが…リンの目は…僕が覚ましてやる」

「少年のことは嫌いじゃないんだがな」





ティキの手からティーズが姿を現した。
それを見たラビが動こうと立ち上がるが、それはロードに遮られる。





「ティッキーもねぇ、アレンのことが好きなんだよ。邪魔しな〜いで♪
僕と遊ぼーーー♪ブックマン」





そして私は今は手を出すべきではないと判断し、成り行きを見守ることにした。





「ラストダンスと行こうぜ、少年」
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