また君を探そう
□第1章
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見られているのを分かってる癖に、目が離せなくて。
食い入るように、口を小さく開いて彼女を見つめていた。
視線が僕に向いているのを意識すると、生唾を飲み込みそうになった。
はっと我に返り、それを必死に堪えて口を噤む。
きっと僕の頬は…いや顔は、みっとも無い程真っ赤になってる事だろう。
ふわりと笑んだ彼女が、1歩ずつ確実に僕に近付いて来る。
さっき止んだ春風がまた吹いて、僕の熱い頬をそっと撫でると、桜の花びらを少しだけ散らす。
その淡い桃色の紙吹雪のような桜の花びらをバックに、ゆっくり僕に近付くその人は、間違えて地上に生まれた美しい天使のようだった。