短編
□恋愛対象
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「リリちゃんの事好きになっちゃったんだよね…」
そう言った秋山の顔を思い出す。
約2年前の事だ。
その後リリもとい靖子は、冴島大河を庇い死んだ。
あのときの秋山の落ち込みようは無かった。
スカイファイナンスもずっと休みのままだった。
そんな時谷村が声を掛け遊びに誘う。
まぁ…男同士の遊び友達という仲だ。
谷村は自分のデスクに体を預け
深いため息をついた。
「あーーーなんなんだよ あの人
めちゃくちゃ かっこいいじゃん」
そう言って吠えていたら
ぽかんと伊達に頭を殴られる。
「ぐだぐだ言ってねーで 会議が始まるぞ
急げ」
「いて…へーい 行きますよ」
椅子から重い腰を上げ伊達の後ろに付いていく。
このところ秋山の事ばかり考えている自分が嫌になる。
「______で ここの場所で遺体は発見され…」
会議中でも谷村は先日の秋山の事を思い出していた。
スカッとしたいと言った秋山にバッティングに誘った。
その後は、汗を掻いたので神室 湯乃園に誘われたが谷村は仕事に戻らなくては行けなくなり解散。
ここ立て続けに物騒な事件が立て続けに起こりまったく秋山に会えずに居た。
そう谷村は最初は落ち込んでいる秋山が気の毒で遊びに誘っていたが
意外と馬が合うというか、気が合うというか
結構楽しんでいる自分が居た。
何度か会ううちに、抱かれても良いと思うくらい秋山の事が自分の中に入っていた。
始めは焦りもした。
自分はゲイでもなんでもないはずだと
秋山を好きになる前は当然の様に女を好きなり、抱いたりしていた。
でも余計な感情を取っ払ったら、意外とあっさりとしたものだった。
「秋山は自分の中では特別なのだ」
という答えが出た。
でも、答えが出ただけでは何も解決にはならなかった。
なんていったて、秋山は無類の女好き
というイメージが谷村にはあるので
遊び仲間から前進できなかった。
もし、自分の気持ちが知られでもしたら…
自分はどうするべきなのだろうか…
「あ゛あ゛あ゛〜」
会議中に吠えている谷村に
一課の上の者に「何か質問がおありですか?」
と聞かれ焦る谷村だった。