短編

□日常
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外は雨。
今日は久しぶりに一緒の休みだが互いに違うことをしている。


冴島は、なにやら難しい顔で資料とにらめっこしていた。


名前はというと、録画していたドラマを見ている。


別に喧嘩をしているわけではないがそれが二人の日常。


ちらりと背を向けている冴島を見ると、肩を押さえてぐるぐる回していた。


名前は、すくっと立ち上がり冴島のためにコーヒーを淹れる。


すると冴島の鼻にコーヒーの良い匂いがしたと思ったら



机の上にコーヒーが置かれた。


「おおきに」


「うん でも大丈夫? 疲れてるみたいだけど」


「せやな…」


そういうと伸びをする冴島に名前は肩を揉んであげ


「ほら…すっごい硬くなっちゃってる ほぐしてあげるから ホラ横になって?」


冴島を椅子から立ち上がらせて、床にうつ伏せにさせる。


うつ伏せになった冴島の上に跨り
マッサージをしていく。


ぐっぐっと、押す名前の手が気持ちよく冴島はそのまま意識を飛ばしてしまった。


「大河さん? 寝ちゃった?」


返事をしなくなった冴島の顔を覗き込むと目を瞑り、気持ちよさげな顔で寝息を立てていた。



名前は、ふふふと笑い冴島の上から降り
寝室から掛け布団を持ってくるそっと冴島に掛けてあげた。


そして自分もその横に入り込み
寝ている冴島の顔を見る。


「大好き…大河さん」


そう言うと、寝ていたはずの冴島の手がJOYを抱きしめる。


「わしかて名前の事 大事におもってんで?」


「寝てたんじゃ…」


少し驚いた名前は、冴島を見返す。
冴島は、微笑むと


「今日はすまんかったな せっかく久々の一緒の休みやったのに 仕事家に持ってきてしもうたし どこも連れていかれへんくて」


「ううん 別にいいの大河さんとこうして引っ付いていられるし」



名前は冴島を抱きしめ返す。
そして互いに目を閉じ軽くキスをした。


「わしにはもったいないくらいな女や…」


「そんな事無いよ 大河さんだって私には勿体無いくらいな良い男だよ」


互いに褒めあい
二人で笑いあう。


「でもたまには 大河さんとデートしたいです」


「例えば? わしあんまり外の事知らんからな〜」


「えぇ〜 すぐそんな事言うんだから〜」


ポカポカと冴島の胸を軽く叩く。
それを両手に取りまた抱きしめる。


「名前行きたいとこなら 何処へでも連れてったる せやから良く考えといてくれ」



名前は抱きしめられながら行きたい所を考えたが


「やっぱり無い」


「あ? ないんか?おかしなヤツやな」


こくんと頷く名前はちゅっと冴島にキスをし


「だって ここだもん私の行きたい場所
ずっと傍にいたい いいでしょ?」


そういう
名前は、ぎゅっと冴島の片腕を掴む。


あっけに取られた冴島は、あはははと笑い出し


「欲が無いというか…なんと言うか…」


「いいの! ! いきなり居なくなったりしないでね?」


「アホ…どんな心配してるんや 置いていくわけないやろが」


「うん 知ってる 言ってみたただけ」


そういうと布団の中で二人は手を繋ぐ
二人一緒の休みに特別な事をしたいわけではない


こうやっていつまでも傍で幸せを感じたいだけだ。


「雨…」


「うん?」


「雨止んだみたいやな?」


冴島の視線を同じ方向に向けると窓からは日差しが差し込んでくる。


「雨止んだことやし たまには飯でも食いに行くか?」 


「うん! !」


「現金なやっちゃ」


ぽんぽんと名前の頭を撫でると冴島は、体を起こし


手を差し伸べ、寝転んでいる名前のてを掴むそれを勢い良く捕まえて起き上がる。


___久々の休日たまにはこんな休日でも良いよね?
でもやっぱりおしゃれした大河さんを自慢したいな____


___まったくどっちやねん わからんやっちゃ___



   日常    Fin
 

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