短編

□お誕生日おめでとう
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「真島さん 真島さん」


ベッドで高いびきをあげている真島を起こす。


「ん…なんや?」


一生懸命真島の体をゆすっいる名前を見る。


今日真島は休みなのに名前は服を着て綺麗にしていた。


「名前…えらい綺麗にしてるの〜
どこぞ出かけるんか?」


「そうです! 出かけます」


真島は名前の頭を撫で、そうかそうか〜気をつけていってくるんやで〜とまた布団に潜り込もうとし、それを名前に剥ぎ取られる。


「何するんや 俺はまだ眠いんや
寝かせてくれや」


「何言ってるんですか! もう午後3時過ぎてますよ」


真島は、はぁーとため息をつきベットから体を起こし、腰を掛けてベットの横に置いてある小さな机から煙草を取り出し火をつける。


「で…なんや? 急がせて なんぞあるんか?」


髪をかき上げけだるそうに名前を見る。


その一連の動作に名前は見惚れながら、はっと思いクラッカーを取り出す。


「真島さんお誕生日おめでとうございます」


クラッカーの紐を引っ張り「パン」と音が鳴り
紙ふぶきが真島の頭上へと落ちる。


真島は一瞬なにを言っているのか分からなく
壁掛けのカレンダーを見ると


そこに、名前が書いたのであろう
「15日」に花丸が書いてあった。


「あぁ…俺の誕生日か〜」


クラッカーの紙ふぶきを取りながら納得がいった。


「ええ そうです だから早く顔を洗って
服を着てください」


「ん? なんや?どこぞ 行くんか?」


名前は大きく頷き


「今日は真島さんが王様です行きたいところ
ぜーんぶ 行きましょう!」


ぐいっと真島が煙草を持ってない手をとり立たせる。


「行きたいトコね〜…」


煙草をふかし、ニコニコの名前を見る。


「はい 行きたいトコです」


そういうと名前はいつも真島が着ている
ジャケットと黒の革のパンツを渡す。


「急いで 真島さん」


そうせかすと、真島はハイハイと言い
ジャケットに袖を通して、パンツに足を通した。






顔を洗い、髪を整え終え、いつもの眼帯を付け
名前の待っているリビングに行く


「支度出来ました? じゃハイコレ」


真島はいつも寝起きは、冷たい水を飲むので、名前はそれを渡す。


「えらい準備がええの〜今日は」


それを受け取り喉を潤す。


「ええだって今日は真島さんが 王様だから
何処行きたいですか?」


真島は水を飲み終え、考える。


「んー… 別にコレといって思い浮かばんな」


「え〜 だって〜 久しぶりのお休みにリフレッシュ したくないですか?」


「名前と一緒やったら 俺何処でもええで ほな 名前が行きたいトコでええ」


「えぇ〜 それじゃ 意味ないじゃないですか」


「せやかて〜……あっ せや
名前の運転で ドライブ行こうや」


「え? いいですよ じゃそうしましょう」


そういうと、名前は車の鍵を持ってくる。







窓を全開にし、風がなびく中2人は少し遠出をし海道を走る。


真島は、助手席に座り海の匂いを感じ目を閉じた。


それに気付いた名前は真島が寝ると思いBGMの音を小さくする。


「…寝てへんで」


目を閉じながら答える真島を見て、ふっと笑い
そうですか 眠たかったら寝て良いですよ


と言い車を走らす。
真島は、名前との空気感が好きだと思う。


かゆい所に手が届くような関係。
付き合って2年。一緒に暮らすようになって半年くらいたった。


我ながら良く持ったほうだと思った。
しかし飽きたというのは無かった。


名前は真島の隣に居て疲れさせることは無い。


きっと自分を一番に考えていてくれる。
ほかの女と違う。


そんな事を考えていたら
車が止まった。


目を開こうとしたが、風が気持ちよくて中々瞼が上がらない。


ふいにふわっと真島の体にブランケットがかけられた。


しばらくすると、バタンと扉が閉まり隣に居た
名前の気配が消え、うっすら真島は目を開けると


車に軽く腰掛けて、どこかに電話している名前が居た。


後姿だから顔が見えない。
真島はかけられて居たブランケットをとり


名前の隣に行く。


「んー なんや寝てもうたわ」


「ふふ 気持ち良いですもんね」


真島は名前を見ると目前の海を見ながら
海風で髪がふかれ髪を押さえていた。


名前の髪を撫でる。
名前は真島を見てニコリと笑う。


「髪がボサボサになっちゃう」


「せやな」


そして名前の頭を撫でながら軽くキスを落とす。


明るい昼間にまだ海水浴の季節ではないが
ぽつぽつと人が居るところでキスをする。


あまり人が居るところで、いちやいちゃするのが苦手な名前なのに今日は許してくれた。


「めずらしいな 人がおるトコでちゅー許してくれなんて」


名前の顔は真っ赤になりパタパタと手で顔を仰いでいた。


「恥ずかしいですけど 今日なんでも真島さんの言うこと聞くって決めてるから」


真島は、ぐいっと名前を引き寄せ抱きしめる。


「好きやで 名前」


「へんな真島さん そんな事このごろ言わないのに〜」


抱きしめながら名前がクスクス笑う。


「ひどいな〜 俺はいっつも思うとるで」


真島は名前の方に顎を乗せふぅ…とため息をついた。


「私の方が好きですよ 絶対」


「いや俺や」「ううん 私です」


抱き合いながら「好き」の言い合いをし、ふっ と2人の目が合い笑い合う。


「あははは じゃ 2人は相思相愛ですね」


「せやな」


そしてもう一度キスをする。
今度は深く、深く。


「ん…ぅん…ま…って」


息を荒くし、名前は真島から離れる。


「もう…深すぎます 加減してくださいよ」


「すまん すまん ちょっと歩こか?」


名前に手を差し出す。
名前はとたんに笑顔になり真島の手を繋ぐ


波うちぎわを2人で歩く。
少し日が傾きかけている。


「ちょっと待って真島さん」


「ん? なんや?」


名前はいったん真島から手を離し
靴と靴下を脱ぎ、足を波につける。


「車戻るときどないすんねん 砂ついて大変やで」


「んー 真島さんにおんぶしてもらう」


「なんやそれ」


フフフ と笑いまた歩き出す。


「わー 真島さん綺麗〜 夕日が
ほら見て 真島さん」


目を輝かせながら沈んでいく夕日を見ている
名前を愛おしく思う。


「あぁ…せやな」


しばらく夕日を見ていたが、太陽が沈んでしまうと、風が冷たく感じ


名前はくしゃみをする。


「ほれ〜 風邪引くで 行くか」


そう言うと真島は、名前を担ぎ上げる。


「ちょっっ 真島さんもっとロマンチックな抱き方が良いです〜」


「ほいほい 次はロマンチックにするわ」


も〜と言いながら、真島の背中を軽く殴る。


「いたいっちゅーねん ほれ付いたで
鍵貸せ」


ピッと音がし、車のドアを開け名前を運転席に乗せる。


「ありがとう」


「おう」


そして、真島は助手席に座る。
名前は靴下を履かなく、後ろの席にあった サンダルに履き替えた。


「用意周到やな」

まぁね〜とかる口をたたき
エンジンをかける。


「お腹空きましたね〜」


「そういや空いたの」


名前はナビを付け操作していると


「ちょっと走らせると 魚介類が美味しい
お店があるんです 予約しましたから
そこに行きましょう」


「ほー いつのまに」


フフフと名前が笑う。
さっき真島が寝ている時電話をしたのだ。


車を走らせる。
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