I will miss you

□彼女は嘘に恋をした
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貴方に貰った煙草。
ずっと、私の宝物だった。


今、最後の一本に火をつけてるの
これどんな意味なのか分からないですよね。


いいの。
分かってくれなくても…


これで貴方を思っている気持ちを灰にするの


「……さよなら」


名前は、海の風に髪をなびかせながら
吸っていた煙草をもみ消し


傍に居た男に向かって


「物好きですよね…こんな所にまで付いてくるなんて」


と悪態をつく。
言われた男は、眉間に皺を寄せながら手を差し出した_____________










まだ茹だる様な真夏に名前は冴島組の門前に居た。


冴島組の組員に
「組長の父の代わりに挨拶をしに来た」


と言って、組長に会わせろと言ったが
確認してから、と言われこんな暑い炎天下の下で待たされているのであった。


「あっつ〜 はぁ…もう早くしてよ〜」


名前は、門前の先に見える玄関に視線を向けると、若い男が走ってくる。


名前は、ハンカチで汗をぬぐっていたのを止め男を見る。


「すんません! ! うちの組員が 無礼を働きました! !」


名前は、にこりと微笑み


「いいえ これくらいの番をしている組員さんの方が安心ですよ」


ははは、と若い男は笑い御礼を言った。


「すみません アポは取った筈なんですけれど」


「ええ 聞いていますよ 一之瀬組のお嬢さんがご挨拶に来ると」


それを聞いた名前は、ほっと胸をなでおろした。


その後2、3 話して名前は冴島がいる部屋へと通された。


「親父 失礼します」


組長室に通された名前は、部屋に居る男に心を捕らわれた。


「一之瀬組のお嬢さんがいらっしゃいました」


「おう ありがとうな城戸ちゃん」


城戸は頭を下げ、部屋から出て行った。


机の上の書類に目を通していた冴島が名前に目を向ける。


「ちょっとすまん 待っといてくれへんか?」


「はい」


頷いた名前は、ドアの横に立っていずらそうにあたりをそっと見回した。


最近出来た組だと聞いたが、自分の親が持っている組とはまったく違った。


「これが…直系と三次の組の差だね…」


____とっとと あんな壊れそうな組潰せば良いのに…____


と考えているときに、書類に目を通しながら冴島が言う。


「___一之瀬組は…先代の組と聞いたけど あんたは組の秘書とかか?
親の後継ぐつもりなんか?」


いきなり話しかけられ、はっとする名前は、冴島を見る。


冴島は名前を見ていた。
名前は、冴島の視線を合わせながら


「えっと…私の母の父親が先代でして…で元々 母は継ぐつもりも無く 父の性を名乗りそしてウチの組みを継いだみたいです それに私は継ぐつもりも無く
秘書でもないです」


「ほな…なんで 今日はここに挨拶に来たんや?」


ま…兎に角そんなトコ立ってらんと座りと促され
名前は、革べりのソファーへと腰を落とす。


座ったのを見計らって冴島も机を挟んで、名前の正面へと座った。


何故か胸が大きく跳ね上がり
冴島を見れない。


___何焦ってんの? 私…____


首をかしげた。


「で…一之瀬の組長はんは何で 来られへんねや?」


「えっと…仕事でして…はい」


「組長が仕事?」


「はい…ウチは三次の組で そんなにお金も無いですし…数人の組員連れて…祭りの屋台の仕事を」



「そーか ほんで変わりにあんたが来たわけや」


「はい すみません…私なんかで」


と頭を下げる。
冴島は、ははは と笑い


「かめへん 三次やろうと 直系やろうと同し東城会同士 仲良くしようやないか」


すっと 冴島が手を差し出し名前は慌てて手を差し出し、握手をする。


その手の大きさに名前はまた胸がときめいいてしまう。


___素敵な人だな…____


そんな事を思いながら、握手をした自分の手をじっとみた。
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