長編

□仮面
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幹部会が終わるまで名前は、父の運転手として父が帰ってくるのをこの東城会の本部の駐車場で待っていた。


何人か他の組の組長が出てくる中、父は出てこずに多少イラつきながら迎えに行こうと思い車から出て本部の中に入ると白峯会の峯とすれ違った。


「落としましたよ」


背後から峯に話しかけられ、名前は後ろを見ると


床に落ちたハンカチを拾っている峯を見る。


「あっ すみません 峯会長」


名前は慌てて、峯に歩み寄る
峯はゆっくりと名前の手にハンカチを渡す。



「ありがとうございます」


お礼を言いハンカチを峯から貰う。


「貴女のお父上は 6代目とは長いお付き合いなんですか?」


いきなり話しかけられた名前は少し驚き
質問に答えた。


「あぁ…堂島君…あっ いえ 堂島会長と私は同じ小中高と一緒で…」


「あぁ…そう言う事ですか…貴女のお父上が6代目の事を大吾君と呼んでいたので」


名前は、頭を抱えた。


「また…もうお父さん 注意しておきますね
ありがとうございました」


ペコリと頭を下げた時名前の背後から
名前を呼ぶ声が聞こえた。


峯はそちらを見ると、大吾と先程話していた目の前に居る女の父親が歩いてきた。


「もう お父さん」


そういうと名前は峯から離れ二人の傍に行く


「お久しぶりです 堂島会長」


「元気そうだな 名前 会長なんてよしてくれよ 前みたいに堂島君で構わないぜ」


「おう! 良かったな 名前構わないってよ あははは」


豪快に笑っている父親にぐっと顔を近づけ


「堂島会長が 構わなくても 私が構うんです
会長も 示しがつきませんよ まったく」


そうして話している3人に近づく峯。


「会長がそんなに フランクにお付き合いしている女性が居るとは 知りませんでしたよ」


峯がそう言うと、大吾はふっと笑い


「俺たちは腐れ縁みたいなもんだ 今更男と女の付き合いはありえないな」


ぽんと名前の頭に手を置く大吾に名前はそっと大吾の手をどかすと


「峯会長もそんなご冗談言うんですね」


名前はくすくすと笑うと大吾がいきなりありえないことを話しだす。


「名前! 峯と付き合ってみれば良いじゃねーか?  峯今は誰も付き合ってるやつ居ないんだよな?」


名前は驚き目を見開き、慌てて峯に謝る。


「ちょっと! 会長! すっすみません峯会長」


頭を下げた名前は峯の言葉に驚き放心する。


「良いですよ 6代目がこんなに仲良くしている女性なら信用できますし」


さらっと峯が言うと、その場に居た3人は驚いた。


そんな3人を残し峯はなにやら紙の切れ端に書いて、ソレを名前に渡した。


「これ私の携帯番号とメールアドレスとパソコンのメールアドレスです 今夜食事でも 連絡してください では6代目 名前さん失礼します」


そう言うと峯は3人を残し歩き出した。
はっと気付いた名前は慌てて、貰った紙を見ると、本当に電話番号なりが書かれてあった。


「どういう事? ちょっと! 堂島君! どういうことなの? からかわれたんだよね?」


名前はあまりにも驚いたので、大吾に敬語を使うのを忘れてしまっていた。


大吾も驚きながらもにこりと笑い


「峯は良いヤツだから 良かったじゃねーか名前 行き遅れなくて」


あはははと笑いその場を離れた。
残された名前と名前の父親はとぼとぼと駐車場へと向かった。


「どうしよう… お父さん」


「ん? んー 峯は真面目というか堅物というかいけすかん奴なんだよな 俺から見たら…
大吾君の前だと猫かぶっているような な〜
あんまり深く関わるなよ」

「分かってるよ私だって 峯組長は会長の前だからそう言っているのよきっと」


そう言うと名前はエンジンをかけ、車を発進させた。
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