ただただ逢いたい

□番外編 〜お誕生日〜
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「どういうこっちゃ?」


今から数時間前に真島は信じられないものを目撃した。


名無しさんと冴島が仲良くル・マルシェで買い物をしていた。


冴島は少し照れながら(真島にはそう見えた)
名無しさんは、冴島の首元にネクタイを当てて微笑む。


「なんで…兄弟と名無しさんが?」


真島はそう呟くと踵を返し、歩きだした。


purrr…と真島の携帯がなり
着信を見れば名無しさんだった。

真島は眉間に皺をよせながら携帯に出る。


「おう なんや?」


『真島さん今日お仕事何時に終わりますか?』


「今日はもうワシは終わったで〜」


『そうなんですか? 私今日お休みなんです 良かったら会えませんか?』


真島の仕事が終わった事を知ると、名無しさんは嬉しそうな声を上げた。


「かめへんで? せやったら…」


『私がお迎えに行きます! !』


いつもは、ミレニアムタワー前で待ち合わせをして、大体西田辺りにいつもホテル前で降ろしてもらうのだが


今日は名無しさんが迎えに来ると言う。


___めずらしい事もあるんやな…___


そう思うと真島は


「ほな ワシ待ってるわ」


『はい! ! ミレニアムタワー前で待っててくださいね』


そう言うと、通話は切れた。
事務所で仕事をしていた真島は、座りながら背伸びをし立ち上がる。


「西田〜 ワシもう終わるさかいな〜」


西田はバットヲ拭いていた手を休め真島を見る。


「はい! お疲れさんでした! !親父何処かお出かけで?」


真島は、首をコキコキ鳴らしながら西田を見る。


「あぁ…なんや知らんけど 名無しさんが迎えにくるっちゅーからの 下で待っとくんや」


ほなな 後頼むでと言い残し事務所を出た。







数時間前。
名無しさんは店の花で花束を作っていた。


「あれ? 今日お前休みじゃなかったけ?」


配達が終わった朝田が、店のエプロンを付けながら聞いた。


「はい そうなんですけど真島さんが今日誕生日なので…お祝いをと…」


「へー…そうかめでてーんだか めでたくないんだか…」


配達のチェック表を見ながら嫌味を言う。


「めでたいんですよ! ! あっそうだ! ! 朝田さん 男の人って何をプレゼントしたら喜ぶんでしょうか?」


「あぁ〜? 知るかよそんなん自分で考えろよ」


「え〜…だって〜男の人って何あげたら良いか分からなくって」


朝田が溜息をつくと、名無しさんを見る。


「お前な〜 他の男に聞いたプレゼント貰って真島さんが嬉しいわけ無いだろ? お前が考えたプレゼントの方が嬉しいに決まってるだろうが! !」


こつんと軽く頭を殴られた。


「いた〜 …でもそっかそうですよね! !
ありがとうございます じゃ私はこれで
お疲れ様です」


「へいへい お疲れさーん」


名無しさんは赤いバラの花束を持ち走り出した。


そして、真島に電話をかける前に神室町をぶらつく


「さすがにドンキではプレゼント買えないよね〜 真島さんだもん…何が良いのかな?」


ぶづふつ言いながら歩いていると、どんっと誰かにぶつかって名無しさんは尻餅をついた。


「いっっっつつつぅぅ〜」


座った状態で、雪穂はお知りを摩っていると頭上から声がした。


「すまん 大丈夫か?」


「いえ…私も考え事をしていたのでって! !
真島さんの! !えっと……兄弟さん! !」


「あ? なんや? あんた真島の知り合いなんか?」


手を差し出しながら、冴島は名無しさんの腕を掴み立たせた。


「ありがとうございます はい…えっと真島さんとお付き合いさせていただいてるものです」


そういうと、冴島は何かに気付いたように名無しさんの顔を見た。


「あぁ〜 エレベーターでぶつかった」


名無しさんは慌てて頭を下げた


「あの時はすみませんでした謝りもしないで」


「ええって どうせ兄弟がなんかやらかしたんやろ?」


名無しさんはそれには答えず曖昧に笑う。


「せやけど…考え事しながら歩くのは危ないで なんかよっぽどの悩みなんか?」


今度は、名無しさんが何かに気付いたかのように冴島を見る。


「真島さんの兄弟さんお願いします! !」


「冴島や 冴島大河や で? なんや?そのお願いとは」


「冴島さん… 今日真島さんの誕生日なのはご存知ですか?」


「いや…知らんな」


「えっ…兄弟なのに? まっいっか
そこでですね 真島さんにプレゼントを買いたいんですが 真島さんここの所何か欲しがっていませんでしたか?」


冴島は名無しさんの話を聞くと、手を顎に乗せ考え込んだ。


「あぁ〜 そういえばここんとこスーツばっかりで ネクタイの本数が少ないって言っとったな」


「ネクタイ…そうですか 冴島さん! ! お願いします! !ル・マルシェまで付いて行って貰えませんか?」


「まぁ…尻もち付かせたワビとして行かんこともないけど…どうせなら自分で…」


「ありがとうございます! !じゃっ 早速! !」


名無しさんと冴島はル・マルシェまで行ったのだった。


後で何が起ころうとも知らずに…
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