ただただ逢いたい

□どうなっちゃうの? どうなるんや?
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次の日、真島は事務所の組長室に篭り机の上に両足を乗せて、自分の左手の親指を見ていた。


昨日の名無しさんの泣き顔、涙、そして笑顔
どうしても忘れられない。


…しかしもう恋愛はこりごりでもある。
一晩の恋愛は、何度となくしてきたが、


真剣にもう自分は人を愛せないのかもしれない。と思っていた…


いや…愛せない以前に雪穂の事がまだ
忘れられない…


というのが正しいのかもしれない。
あんなに幸せだった時間はわずか1年で終わった。


雪穂の事を想いながら、別の女に心を揺さぶられるなんて、自分らしく無い…


自分の性格上愛するなら一人の女だと思っていた。


「気の迷いかもしれんしな……」


と言って、両足を机の上から下ろし
舎弟を後ろに付けて神室町の見回り?絡まれたくて?神室町を歩るく


「おう おのれら昼の神室町もまたええの〜」


とカラカラカラとバットを引きずりながら神室町を歩いていたところに


後ろから赤い軽の車が真島の横をすり抜けて
ピンク通りの方へ曲がっていった。


あの車はたぶん名無しさんの車だ
真島は舎弟を事務所に帰し


名無しさんが曲がった道を真島は追った。


そこには髪の毛を一つにまとめて、青いエプロンをして車から大きな花束を降ろそうとしていた。


「名無しさん……ちゃ……」


真島は名無しさんを呼ぼうとして、声を出したが、その声を名無しさんと呼ぶ男の声で
掻き消された。


「名無しさんーーーこっちが先だろ?
ったく…何やってんだよ」


と名無しさんの右のほっぺを摘んだ。


その光景は真島にとって二人が真昼間から
いちゃいちゃしているようにしか、見えなかった。


「い…いひゃいよ(痛いよ)〜ほめんなさい
(ごめんなさい)〜」


とその男に涙目で言っていた。
男は名無しさんの顔を見て笑って


名無しさんの右目の涙をその男の左手の親指で拭った


それを見た真島は名無しさんの手を掴んで
名無しさんを連れて歩き出した


「え…?ま 真島さん? え?
ちょ…ちょっと! ! は 放してください
私仕事中です! !」


と名無しさんは真島の手を離そうとぶんぶん
腕を振った。


「お…おい! !あんた!うちの従業員に何すんだよ! !」


と男は真島が掴んでいる名無しさんの腕を掴んだ


「朝田さん…」


名無しさんは朝田の顔を見てほっとしたようだった。


「おたく…真島組の真島さんでしょ?
うちの者何か真島さんに失礼なことしたでしょうか?」


と朝田は真島に聞いた。
真島を見て少しも怖がらずに名無しさんを助けようとする。
名無しさんはあわあわと焦って


「あ…あの朝田さん真島さんは…えっと…その お お友達なんです」


とスットンキョな声を出して誤解を解こうとした。


「はぁ? !友達なんて…お前何言ってんだよ
兎に角失礼ですけど 真島さん
まだこいつ仕事中なんでこっちに帰してもらえますか?」


ともう一度名無しさんの腕を引っ張った


「お前とか こいつとか 馴れ馴れしいんじゃ! 名無しさんちゃんに用事があんねん
腕離さんかい!」


真島は朝田の腹を蹴った。


「きゃ! !朝田さん! !」


名無しさんは朝田に駆け寄ろうとしたが、真島がそれを許さなかった。


「行くで 名無しさんちゃん」


真島は名無しさんをひっぱりまた歩き出した。
後ろでは朝田が名無しさんを呼ぶ声が響いた。
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