ただただ逢いたい

□過去の恋 今の愛
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二人の気持ちが同じになった日から数日、
真島は黒光りの車の中から、名無しさんと朝田が同じ青いエプロンをして花束を抱えエリーゼに入っていった 二人を見つけた。




先ほど名無しさんからメールを受け取り


『今から神室町のエリーゼというお店にお花を届けます。ミレミアムタワーの近くなんですよ! !……真島さん今日はお忙しいですか?会えたら嬉しいです』


まだ返事を出していなかった。今日は忙しくてなかなか返事を出せないで居た。


「おい ここでええ 降ろせ」


「へい 親父 今下の者を付けさせます
ちょっと待っていただいても良いですか?」


とミレミアムタワーの前で止まった。
真島は顔の前で手を横に振り


「今日はええ プライベートやワシ一人でええ」


「へい お疲れ様でした」


舎弟は運転席から出て、真島が座っている後部座席のドアを開けて、中腰で頭を下げ真島を見送った。


エリーゼの前で名無しさんが出てくるのを待った。
タバコを咥えたがやはり火種を持っていなかった。
そこに真島の前にシュッと音がして火が目の前にあった。


「真島さん またライター持って来てないんでしょ?」


と微笑む名無しさんがいた。


「…気きくやん いつ終わる?」


タバコに火をつけながら朝田をちらっと見た。


朝田は信じられない光景を見た感じで呆然としていた。


「名無しさん…お前この人とどんな関係なんだよ…前オトモダチとか言ってたけど…」


と朝田が名無しさんの肩に手を置いた
真島はそれを見て名無しさんを自分の傍に引っ張り


「前はオトモダチやったけど、今はちゃ〜んと愛しあってんで〜…覚えとけや」


と最後の『覚えとけや』は朝田の耳元でドスをきかせて言った。


朝田は真島を見て


「あんた…本気なのか?」


フンっと朝田を馬鹿にしたような目で見て
名無しさんを引き寄せて


「いつ終わる?迎えこよか?」


と顔がつく位な距離で話し始めた。
名無しさんは慌てて顔を離そうとしたが真島はそれを許さない ん? と返事を催促した。


名無しさんは恥ずかしそうにしながらそして朝田の目を気にしながら


「えっと…これで終わりなんですけど、一度朝田さんと店に戻らないと…それに私の荷物とかもお店なんで」


「そうか…ほな名無しさんちゃんの家で待っといてええ?」


真島が1つの鍵を名無しさんの前で振った
そう、それはまぎれもなく名無しさんの家の鍵だった。


「え?…それって…うちの鍵ですよね?」


と真島がふるふる振っている鍵に手を伸ばそうとしたら ぱしっ と真島の手の中に収められた。


「ほな 先に行っとるで〜はよ終わらして帰っておいでな〜」


と手を振って歩き出した


「真島さーーん! !ちょっとーーー」


と名無しさんの声が真島の背中に投げかけたが、真島は後ろ手で手を振るだけだった。


「…名無しさん お前本当に大丈夫なのかよ?
あんな奴と付き合って」


「大丈夫ですよ…たぶん」
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