ただただ逢いたい
□離れない 離さない
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二人は流れるように、真島の事務所に入った。
そして貪るようにキスを繰り返した。
「ん…は…ん…ぅう」
「名無しさん…名無しさん…」
「真島さ…ん く…くるし…」
名無しさんは真島に訴えたが、それは聞き入れてはくれなかった。
それどころかもっと深く、真島の舌は名無しさんを犯した。
「…お 親父…」
番をしていた、西田、南がいきなりやって来た二人にびっくりした。
「なんや…お前らおったんかい…何してんねん 気ぃきかせて 出てけや」
と名無しさんを抱きしめながら、アゴでドアを指した。
名無しさんは二人が居ることなどまったく気付かず、真島からの熱い抱擁を受けていた。
名無しさんは真島から離れようとしたが、真島が ぎゅっ と力を込めて離さなかった。
「へい…失礼しました」
と二人は出て行った。
「ま…真島さん やだ もう離してください」
といきなり名無しさんは真島の腕の中でもがき始めた。
「嫌じゃ ワシがどんだけ苦しかったかしっとるか?…まぁワシがはっきりせーへんかったんが名無しさんを苦しめてたんやしな 悪かった…それは すまん」
名無しさんは黙って真島の話を聞いていた。
「雪穂とは終わったんやけどな…あいつも あの時はめっちゃ苦しんだんや けどあの時があったから今名無しさんとこうして向き合えた」
真島は名無しさんから離れソファーに座った。そしてぽんぽんと真島の隣を叩いた
それは『隣に座れ』という事だ
名無しさんはちょこんと 少し間を空けて座った。
それを許さない真島は名無しさんを肩から引っ張り密着させた。
「でも…忘れられなかったんでしょ?
今は?気持ちに無いの?」
「無い…って言ったら嘘になる あいつには幸せになってもらわな困る」
その言葉を聞いて名無しさんは顔を曇らせた。
その顔をぐいっと真島は自分の方に向けて
「けど…けどなワシの手で幸せにしたいんは
お前だけや」
名無しさんは目を泳がせ、そしてまた真島を見た。
「もう 離さへんで 覚悟はええか?」
「……はい 私だって 離れない」
真島の顔が名無しさんに近づいてくる…
「あ…あーーーーー! ! !」
と大きい声を出して名無しさんは立ち上がった。
いきなり大声を出した名無しさんを真島は見上げた
「ど…どないしてん いきなり?」
名無しさん真島の横に座りなおし
「私…配達帰りでした…台車も下に置きっぱなしだし…あの…一度店に戻ってから…」
『真島さんに会いに来る』と言いたかったが、それは真島のキスと押し倒された事によって遮られた。
「ん…ま…真島さ…ん まっ て…」
「もう 十分待った これ以上は待たん!」