ただただ逢いたい

□別軸 〜ただただ逢いたい〜
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兄さんと貴女が、半年離れていた時の別の話です。




___半年離れていただけなのに…女の気持ちはすぐに変わるもんなんか?____


真島は唖然とした。昭和通りを腕を組んで仲良さげに歩いているカップルを車に乗りながら見ていた。


「親父…すんません なんか事故みたいでまだ動きそうもありません」


申し訳なさそうに構成員が真島を見た。
しかし真島は窓の外をじっと見ていた。


「親父? 外にお知り合いが?」


「うん? あぁ…いや ええねん」


「そうですか? あっ動き出しそうですよ」


車が二人から離れていく
それでも目線は二人から離れない。


「…おい」


「へい なんですか?」


「ワシがこの前まで仲良うしてた女おったやろ?」


「へい 確か…半年前くらいの」


「…調べろ 今何してんのか 男の事とか」


「分かりました」


それだけ言うと、真島は眉間に皺を寄せて考え込む








真島が、組長室で足を机に乗っけてぼーっとしている時ドアほノックする音がした。


「おぅ…なんや?」


真島の声が聞こえた数秒後ドアが開いた。
中に入ってきたのは西田だった。


「親父 以前調べろといわれた女の事なんですが
あらかた出てきたのでお知らせをと…」


真島は資料を西田から奪い取ると目を通す。


名前 名無しさん


年齢 31


両親は早くに離婚。育てた母親は名無しさんが成人をとおに過ぎた時に再婚。
母親は再婚して、数年で死亡。
母親の旦那の姓には入らなかった名無しさんは義父と疎遠になるがちょくちょく連絡入れているようだ。


上に兄が居て結婚していたが離婚。
その兄も今は東京に出ているが、連絡を取っているか不明。


ここ最近、名無しさんの家に男が頻繁に出入りしている。時には泊まりの時もある。


「それで…その これがここ最近女の家に出入りしている男の写真です」


西田が真島の机に写真を置く。
その写真を手に取りふーん と呟く。


「あ…あの」


真島は目線だけ西田に向けた。
西田は汗を拭い、言いにくそうに言う。


「その…女のトコに出入りしている男は…その…」


真島は痺れを切らし


「なんや? はっきり言えや ぶっ殺すぞ」


「へっ へい その男には子供が居ました! 」


「なんやと? !ほんじゃ あいつは騙されとるわけか?」


資料をぶちまける。


「いえ…それが 知っているようでして 仲良く三人で食事したり…しているみたいでして」


「あいつ…それでもええんか?」


ぐしゃりと写真を握りつぶした。


「この二人ここに呼べや! !」


ガンっと机を蹴る。西田は慌てて返事をし、出て行った。


数時間後に先に名無しさんが真島の事務所に通された。


「…どういうおつもりですか? 困ります…」


「どいうつもりも無いで名無しさんちゃん…お前時間が欲しいとか言いながら 新しい男出来たみたいやな」


クククと真島は可笑しくも無いのに、笑う。しかし、目は笑っていなかった。


そんな真島を見るのは初めてで、名無しさんは恐怖をおぼえた。


怖がっている名無しさんを目の前に見て


「何怖がってんねん なんもせーへんわ お前の答えしたいではな…」


「答え?」


「せや… おい 持って来い! !」


ドアが開き中に一人の男が転がり込んできた。


「名無しさん! !」


名無しさんはびっくりし、その場に立ち上がり、男の傍に駆け寄る…が


真島に腕を掴まれる。


「なっ なんでこんなことするんですか?」


名無しさんは真島を見る。真島は悲しそうな顔なのか、それとも嫉妬で狂っている顔なのか分からない顔で、名無しさんを見る。


「何でこんなこと? なんでって それしっとるの名無しさんちゃんやない?」


「私? 私は何も…」


真島は名無しさんの話にイラつき名無しさんの髪を引っ張る。


「きゃあああぁぁ! ! 痛い! !」


「待って欲しいやて? ワシの事おちょくるんもええかげんにしろや! ! 男家に連れ込んで! ! しかもあの男結婚して子供もおって お前はええんかそれで! 」


「やめろ! !名無しさんに何するんだ! !」


男は名無しさんの髪を引っ張る真島の手を外そうと躍起になる。


真島は、男を睨むと引っ張っている手を外し
男を殴りかかろうとするが、今度は名無しさんがとめる。


「やめてください 真島さん! ! 私達そんな関係じゃないんです! ! 兄なんです! !」


「うっさいわ! ! 兄やろうとなんでも名無しさん
を騙す奴はゆるさん…って兄?」


真島は 名無しさんを見る。何度も頷く名無しさん。


「兄って 兄妹(きようだい)って事か?」


今度は、襟を掴んでいる男を見る。
真島は額に汗が出る。





「すんませんでした! !名無しさんちゃんのお兄さんとはいざしらず! ! 拉致ってしまい申し訳ないです」


真島は名無しさんの兄に頭を下げる。
組長の面子なんてものは無い。


「いっいえ いいんですけど…名無しさんの付き合っている男の人が…あの真島組長だったとは…」


「お兄ちゃん! ! すっすみません 兄が変な事言って…ほら…帰ろう」


と言い兄を立たせて、帰るように促す。


「じゃ…あの…また…」


「おぅ…またな…」


2人はまだ知らない、これからどんな風にお互いが惹かれあっていくのかを……

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