恋 〜叶わぬ想い〜

□恋 〜叶わぬ想い〜 壱
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「真島さんが好きです…好き…好きなんです」


「名前…」


雨が降る夜の神室町で、女が真島を抱きしめている。

雨のおかげか、歩く人たちは傘を差し、家路へと急ぐか、移動する場所に急いでいて、二人の事は気にも留めていなかった___________________












カンカンカンカンカンと爽快な音で、スカイファイナンスの階段を上がってくる音が事務所まで聞こえてきた。


ソファーで、寝ていた秋山も起き
花もお客様が来るのかと思い、パソコンから目を離し、ドアを見つめた。

 

ドアが勢いよく開けられ


「花〜! ! !」


と花を呼び、飛びついてきた。
花はビックリしながら、飛びついてきた相手の顔を見て、またビックリする。


「名前? !」


「え? 花ちゃん どちらさん?」


と秋山が聞いてきた。








「どうぞ 良かったら 飲んで」


名前の前に、お茶を出す。
名前は少し、申し訳なさそうに秋山にお辞儀をした。


「す…すみません いきなり来てしまって」


「いやいや 良いんだよ ところでどうしたの?



「社長…それは私の言葉ですけど? ね…名前どうしたの?」


と心配した声色で、花が聞いてきた。
名前は瞳をうるうるさせ


「会社 首にされた…子会社だったけど それなりに大きな仕事任されてて、ちょっとミスしちゃって…今日…いきなり…どうしよう? 家も家賃払えなくなっちゃうし…」


名前は、両手で顔を覆う。


「でもいきなり首だなんて 何ミスしたの?」


秋山もそれを聞きたく、うんうんと頷く、
名前は、言いずらそうに口を開いた。


「ミスっていうか…相手側の誘いを断ったの…その夜の相手  私 頭きちゃって 相手の大事な所蹴っちゃったの それで…ね」


「ええええ! ! 何それ 信じられない ちゃんと言ったの? 会社の人には! !」


「…うん」


「だったらー」


と花が興奮して、話し出したところを秋山が口を挟んだ、


「その元会社にとっては 大事なお客様だった…というわけだね」


名前は秋山の顔を見て、頷いた。


「君に非は無いにしろ お客様を怒らせてしまって 会社に君を首にしないと契約話は白紙にすると言われた…とか? ビンゴ?」


「はい でもどうしてわかるんですか?」


「君…素敵だもん そりゃ〜相手して欲しくなるんじゃない?」


その言葉に花が、社長! ! !と怒る。
ごめん ごめんと軽く花に誤り、秋山は、ん〜と考え込んだ。


「…よかたら 仕事紹介しようか?  お手伝いさんなんだけど…どう?」


名前には、秋山が神様の様に見えた。


「あ…ありがとうございます! ! 社長さん! !
是非お願いします」


「社長さんって…俺 秋山 駿って言うの よろしくね名前ちゃん」


名前は秋山が、手を差し出してきたのでその手をしっかりと握り、何度もお礼を述べた。


「…でも 社長そこって 冴島さんの事務所じゃ…」   


こそこそと花と秋山が話しているのをみていた名前は


「大丈夫です! ! どんなお仕事でも頑張ります」


「そう? ちょっと 普通のお手伝いさんのお家じゃないけど 大丈夫?」


秋山が聞いてきた。


「普通のおうちじゃない…って はい どんな家柄でも 頑張ります」


「社長〜…」


花がこめかみを押さえている。


「大丈夫だって 花ちゃん 冴島さんは優しいし 今 あそこの事務所 城戸ちゃんと真島組の人間がちらほら居るだけじゃない 冴島さんは花ちゃんの事気に入っているし 花ちゃんの友達だって言えば きっと待遇良いよ」


そうなのだ 冴島は亡くなった靖子の代わりと言ってはなんだが、花の事を妹の様に可愛がっているのだ。


何かにつけて、花を心配したりする。


「そうですけど〜私はあそこなれていて ご融資もしていまけど…名前は…怖がるんじゃ」


「そんなに 怖いお宅なんですか? 一体どんなお家なんですか?」


花と秋山が、言い合いがぴたりと止まり
名前に言った。


「東城会直系冴島組 極道のおうちのお手伝いさんだよ」


笑顔だった名前の顔が引きつり、背中に嫌な汗が流れた。


「…でも どんな仕事も頑張るって言ったよね?
名前ちゃん」


笑顔で秋山は言い、名前は


「はい どんなお仕事でも…が 頑張ります」








_______この時、冴島さんのお手伝いさんをしていなかったら、あなたと会うことも無かった…
こんな苦しい気持ちも知らなかった。
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