恋 〜叶わぬ想い〜

□恋 〜叶わぬ想い〜 肆
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でも! ! 綺麗にはならないんですよね! !
もう二度と背中が開いた洋服とか水着とか着れないんなんて…! ! 女としては悲しすぎます』


花が先程言っていたことを真島は神室町の光るネオンの中を歩きながら思い出していた。


____女の幸せを壊してしもたんやな…____


ふーっと紫煙を吐き出し、神室町を歩く。








_ピッ_ピッ_ピッ_


名前は、うっすらと目を開ける。
そこは白い部屋だった。


___ここ…は…_____


「いっっっ」


背中に激痛が走る。
そして自分が、うつ伏せで寝ていることを認識した。


__ここ…病院…あぁ…私…助かったんだ___


名前はナースコールを押す。


「苗字さん 気がつかれました? 今先生がきますからね〜 その間に包帯替えますね〜」


看護師が名前の胸へと手を回し包帯を解いていく。


「あ…あの…私どのくらい…意識無かったんですか?」


「そうですね〜二日ですよ でもまだ夜中なので…昨日はお見舞いに来ていましたよ…でもここは家族以外は入れないんですよね」


「あぁ…そうですか…」


「ちょっと消毒しますね〜少し滲みますよ〜」


「あっっつぅ〜! !」


名前は顔を布団に埋め、シーツを握り締める。


「痛いなら言っていいんですよ…痛み止めの薬持ってきましょうか?」


ぶんぶんと首を振る。名前はこの痛みがあるという事は、真島を庇えたという栄誉の痛みなのだ。


___そう言えば 真島さんは…大丈夫なの?___


「あ…あの… 私が意識を取り戻す前に こう…眼帯をした男性は来ましたか?」


「いえ? 来ていませんけど?」


「…そー…ですか…」


真島が来てくれていない事に、すこし不安になる。
何か怪我をしているんではないかと…


看護師は包帯を巻き終え、いつの間にか来ていた
医師と変わる。


「苗字さん 痛みはどうですか?」


「はい 少し…痛いですけど 我慢できないことも無いです」


「うん そうですか…手術は成功しました…それでそのご家族とご連絡は…」


「かっ家族には! ! お金なら大丈夫ですから…
父と母は田舎に居ますのであまり心配はかけたくないんです…ましてやこんな傷ですし…」


医師は、そーですけど…と困惑の顔をする。


「すみません…お願いします」


医師は何も言わず、では お大事にと言い出て行った。


「今何時頃だろ…」


名前はカーテンの隙間から見える月を見ていた。




次の日、、、、、、


「親父! ! 名前さんが目を覚ましたそうです」


西田が、慌てて真島の部屋に入ってきた。


「そーかぁ ほなこれ 渡しといてくれや」


ドンとアタッシュケースを渡す。


「お…親父…会いに行かれないんですか?」


「アホか 行くわけないやろが! ! 女一人どーこーせぇへんわ」


西田は納得がいかない顔をしながらアタッシュケースを受け取る。


「なんと言えば…」


「せやな…その金で背中の手術費用にでもしろやとかでも言っといてくれや」


そして真島は西田に背を向けた。


「へい…じゃ いってきます」


西田は頭を下げ、出て行こうとすると真島が声を掛けた。


「西田ぁ…」


「へっ へい なんでしょう?」


西田は、真島がやはり彼女が心配で一緒に行くと言い出すのかと思ったが、、、、


「金足りんようなら 西田お前の携帯番号渡しとけそれに掛けろと言うとけ ほんで……」


「はい…なんでしょう?」


真島は自分の手をぐっと握り言う。


「庇ってくれたことは正直助かった…けどもう…ワシはお前と関わり合うのはこれで終い(しまい)や……言うとけ」


「親父…本当にいいんですか?」


真島は西田を見るべく振り返った。
眉間に皺を寄せながら西田を見る。


西田は、一瞬怯んだがしっかりと真島を見る。
二人の間に沈黙が出来た。


「……………」


「……………」


先に目を逸らしたのは真島だった。
しかし言葉が見つからない。


確かに名前の事が心配でたまらない
でも、今会えばきっと抱きしめて
もう自分から離させはしないだろう。


たぶん名前はそれでも自分の背中に手を回して幸せを感じてくれるが


いつかきっと後悔するときが来る。
極道の女になるという事、それも東城会直系組織の組長の女だ。


後ろ指を差されるかもしれない。
自分はもう天涯孤独の身だ、嶋野の親父を親父と呼んでからは腹は決まっている。


だが、名前はそうもいかない、自分のために普通の生活を手放してまう。


それだけはさせたくなかった。名前には幸せになって欲しい。


初めてこんなにも自分の気持ちを熱くさせた女だ。


真島が何も言わないので、西田はぺこりと頭を下げ
部屋を出て行く。


部屋を出た西田は深いため息を吐き覚悟を決めた。


真島が言えと云うのなら、自分は真島の舎弟だ
言わないといけない。


たとえ気が進まなくでも、、、、、だ。


西田は事務所を後にし、車に乗り込む、が


どうしてもすぐには、行けないで居た。


「もう少し親父の事を伺ってからでも遅くないよな…」


助手席に置いてあるアッシュケースを見る。











そのころ、真島は深い後悔をしていた。
名前とは終わったのだ、と思えば思うほど


手放したくないと云う気持ちが強くなる。
憂さ晴らしに神室町を出歩くことにした。


_______バキッッッッ


「もう終まいかいな なんやつまらんのぉ〜 最近のガキは」


地面に倒れている男を見下ろし、足先で腹を突く
く、ぐもった声が男から聞こえ何してもつまらないと感じた真島は、その場を後にした。
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