I will miss you

□彼女は嘘に恋をした
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冴島との話が尽きないときに、冴島は自分の胸ポケットを探る。


「……なぁ 自分は煙草持ってへんよな…」


「あ…すみません 私煙草は吸わないんで…」


「いや…かめへんねん おい! ! 城戸ちゃん」


冴島は城戸を呼ぶ、ドアの近くにいたのか城戸は呼ばれてすぐドアを開けた。


「なんですか?」


「俺の煙草 持ってへんか?」


「あ…はい 持っていますよ これですよね?」


そう言って、タバコを差し出す。
冴島は受け取ると、あぁ〜と言い。


「これ俺が吸っとるヤツとちゃうわ」


それを聞いた城戸は慌てて


「すんません! ! 今すぐ買いに走ります! !
なんていう銘柄ですか?」


「いや…これでええわ 後で買いに行くから
気にせんでええ 下がり」


しっしっと 冴島が城戸を追い払う。
城戸はすんませんと言い残し、部屋から出て行った。


冴島が煙草を空け咥えると名前が机の上にあったライターで火をつける。


「悪いな…」


「いえ…父も今冴島さんが吸っている銘柄のを吸っているし よく私が火をつけさせられますから」


慣れているんです と笑いを誘う。
冴島もそれに答えるように、口元をほころばせる。


一口二口、冴時真がタバコを吸うがやはり自分には合わなかったのか、すぐに火を消した。


「やっぱりあかんわ いつものヤツやないから口が慣れへんな」


と冴島はそう言うと、煙草の箱を名前に渡す。


「…え? 私に?」


さっき吸わないと言った事を忘れてしまったのだろうか思いながら、冴島を見る。


「口開いてしもうたけど それ一之瀬組長に
お近づきのしるしにあげといてくれへんか?」


「え… これをですか?」


手の中には、開いてしまっているタバコが納まっていた。


名前は、冴島が三次の組の組長をバカにしていると思った。


いくらなんでも、これは頭にきてしまった。


「……ふざ…けんな…下手に出てると思えば バカにしやがって! ! そこまでうちの組は落ちぶれてないわよ! !」


手に持っていたタバコを握りつぶした。
その啖呵を切った名前を見た冴島は、ニヤリと笑う。


「さすがやな…いくら組とは関係ないとは言っていても わしんとこに挨拶しにくるくらいや
 それなりの 筋っちゅう相手やないとわしかて 何に挨拶されとるんかわからんで…
ましてや そこの若頭でもない相手やしな 
それこそわしの事舐めとるんかと思うやろが? 悪いけど試さしてもろただけや すまんかったな」


冴島は、名前は組とは関係は無い相手に、いくらその筋の娘だからと言っても、親の組を馬鹿にされてどう出るかと、試しただけだった。


それに名前は合格したみたいだった。
そう言われた名前は、一体何を言われたのかと、目を丸くする。


「え… なんですか? は? えぇ〜っと…」


それを見た冴島は、クククっと笑う。


「すまんすまん これからよろしく頼むわ」


がしがしと頭を撫でられ初めて理解した。


「あぁ〜 そういう事ですか〜 そうですよね…
挨拶来るのは普通…父とか若頭ですよね…私なんかが来ても…ですよね」


「まっ 最初はそう思ってたけど さっき自分の啖呵きったとこ見たら 組長さんの事よう分かるわ また酒を酌み交わそうやないかと伝えといてくれや」


それを聞いた名前は、頭を下げお礼を言った。


「ありがとうございます! !」







それから名前の父と冴島は、数週間後に日を改めて会う事になったそうだった。


そして、名前の父からよく冴島の話を聞くことになった
名前は、冴島を知れば知るほど確実に惹かれていった_____________。
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