ただただ逢いたい

□運命の交通事故
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「……警察には私を突き出したりしないんですか?」

とびくびく女はしながら、真島の言葉を待った。

「……ぶーーーーーっっっ」


真島はそのびくびくしている姿がつぼに嵌ったのか、吹き出し、腹を抱えて笑い出した。

「うひゃひゃひゃ〜おっもろいの〜ねーちゃん ワシが大丈夫っていうてんねや、なんで警察に突き出したりすんねん 俺そこまでヤワやないで」

真島はうひゃひゃと笑いながら答えた。


「…じゃ、じゃ、あなたの知っている病院を案内してくださいますか?」

「おう ええで」


女は心底ほっとした表情で、じゃ車回しますので、乗ってください、と言って車の方へ
歩き出した。真島もその女についていった。


「…すみません。ちょっと散らかっていますけど」


と言って、助手席のドアを開けた。


真島は慣れたように、おう と言って席へと座った。


女は慌てて運手席へ戻ると、鞄の中から名刺を取り出した。


「私名無しさんはと言います。近くの花屋で働いています。何かあったら電話ください」


と言って真島に名刺を渡した。
真島はおおきにと言って、その名刺をくるくる廻し、ポケットヘとしまった。


「で…あなたのお知り合いの病院は何処へ行ったらいいですか?」


エンジンをまわしながら名無しさんは聞いてきた。


「おう とりあえずの天下一通りに向かってんか」

と真島はアゴで天下一通りの方を指した。


「……え?神室町に病院なんて無いですよ?」


と名無しさんは真島に聞いてきた。


「ええねん あんねん ワシみたいなやつを診てくれるモグリみたいな医者がおんねん」


「モグリ? ワシみたいなやつ?
まぁ…はい とりあえず神室中央パーキングに停めますが、良いですか?」

真島はおう と言って、うなずいた。


車を発進して、しばらくすると真島はタバコを咥えた。
いつもは舎弟や南か西田がライターを持っているので、自分がライターを持っていないことに気づいた。


「なぁ・・・名無しさんちゃんライター持っとる?」


名無しさんはすまなそうに、


「ごめんなさい。私タバコ吸わないんです。」

と言って、前を向きながら頭を下げた。


「そうか…かめへん」


と言いながら、真島は窓の方を見て少し昔を思い出していた。
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