夜に逢いましょう

□あなたと私と検査薬 ! ?
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あれから数週間が経つが、真島は名前と連絡が取れないでいた。


『留守番電話サービスに接続します…』


無機質な女の声がして、真島は苛立ち携帯電話を投げ捨てた。


「なんでやねんな 電話にもでーへん 仕事場行ってもおらん 家にもおらん…どこにおるんや」


仕事場に行った真島は、驚いた仕事は辞めていた。そして家も引き払っていた。


真島はガンっと机を蹴った。イライラが最高潮に達した。


そして、賽の河原へ向かった。












「おう 真島じゃねーか 何だなんかようなのか?」


「金は払う 女を捜して欲しいんや 組使っても見つからん」


真島はアタッシュケースから札束がぎっしり詰まっていた。


その金を見た花屋は真島を凝視した。


「女ねぇ…どうしたんだ?来るもの拒まず去るもの追わずのお前さんがよ…」


「ええから 探せんのか、探せへんのかどっちゃねん」


真島が花屋を睨んだ。


「……でどういう女なんだ 名前ぐらいしってんだろ?」


「堅気の女や 名前は苗字名前
最近まで神室町の近くに住んでたわ」


「名前さえ分かればこっちの物だちよっと待っててくれ」


花屋はキーをカタカタカタと押しながら画面に名前を出した。


「この女か? こりゃ…この前までお前とよく会ってた女じゃねーか?」


真島は画面を見ながら


「で…どこにおるんや?わかったんやろ?早よう押しえんかい」


「まったくせっかちなヤローだ 今はここを離れてるな、田舎にでも帰ったか? △△県○○市にいる」


「ほーか…ほな おおきに」


真島は、名前の居場所を聞いて花屋から離れ歩き出そうとした。


「おい 真島こいつはいらん お前の焦ったおもしれー顔が見れた ほれ返すぜ」


ドンと真島の胸元に札束がぎっしり入っていたアタッシュケースを返した。


「何言ってるんや なんでもええからこれは花屋 お前の報酬や」


真島は机の上に置いて行った。













ミーン ミーンとセミが鳴くギラギラと太陽が降り注ぐ


「…ふぅ〜暑いな〜」


と買い物袋を地面に置いて右腕で、額の汗を拭く名前が居た。


ここは名前の故郷だった。


あの後名前は友達の咲と一緒に検査薬で検査をした。


結果は陽性。咲は元彼の子かも知れないと言ったが、それは無い。


別れを切り出される大分前から、そういう行為はしていなかった。


だからこのお腹の子供は真島しかありえない。


真島には悪いがすぐに引越し、会社も辞めて姿を消した。会社は元々辞めるつもりでいた。元彼と一緒に働いていられるほど、神経は図太く無い。


子供の事を知られたら、真島に迷惑が掛かる
東城会直系の真島組組長という物が、堅気の女を孕まして結婚なんてありえない、と名前は思った。


それに真島は良い人だが、やはり結婚となると、、、、、考えられない。




堕胎…という考えは名前には無かった。両親が居ない名前は家族が出来たことは、とても嬉しかった。


両親は幼い頃に事故で亡くなって、今は姉が実家に住んでいた。




「ただいまー 暑い〜お姉ちゃ〜ん荷物持って〜」


と玄関に座って姉の奈々を呼んだ。
奥から奈々の声がしない


「お姉ちゃん? あれ?居ないのかな?」


名前は廊下を歩き居間のドアを開けた。


そこには、俯いている奈々と奈々の前に男性が座っていた。


「あ…お客様? すみません」


と名前はドアを閉めようとしたら


「名前…どういうことなの? あなたお腹の子供は別れた男性の子供だって 言ったわよね?」


と奈々が問いただした。


「どうしたの?いきなり……え?」


姉の近くの椅子に座ろうと、男性の横を通り過ぎた


「…ま…真島さん…ど、どうして?こんな所に…」


驚きを隠せないという顔で名前は真島を見つめた。
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