青春ライン

□第三話
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「陸にとって特上の顔ってどんなの!?」



教室に入った途端、真冬が真剣な顔をして聞いてきた。


――…いや、近っ!


ちょっと顔の距離をとりながら、さっきの言葉を思い出す。



『は?え、また、いきなりどないしたん?』



……何や、また突飛なことを言い出したな。
昔からよおあったからか、ちょっと慣れてきたわ。



「いや、早坂くんがさ…」



なるべく簡潔に真冬から事情を聞く。



『ほぉ、なるほどなぁ…まぁ、早坂の言う通り、生徒会長は美人さんなんとちゃう?』



見た事ないから分からんけど。
でも、何や会ったことあるやつはメロメロになっとるみたいやしな。



「そっか…ってあれ?見たことないの?」

『おん。集会とかなあ…めんどいから1回も出たことないもん。』

「めんどいってお前…」



いつ間にか近くに居た早坂に呆れた視線を向けられる。

それに何となく苦笑いで返し、空気を変えようと、さっきから思っとったことを言うてみることにした。



『それよか俺は早坂のが男前や思うで?』

「「…!!」」



ニッと笑って言ってみる。

正直俺は、見た事ない生徒会長よりも身近な早坂は充分なイケメンやと思う。


……ま、特上かは知らんけど。
俺そこまで人と会うてないし、正直分からん。


自分の中で言い訳っぽいことを言いながら2人を見ると、何となく顔が…赤い?



『…何や2人共、風邪か?』

「!!ななななんでもねーよ!!」

「う、うん!!あ、席着かないと!ね!?」

『あ、あぁ…?』



……何や…変な態度やな。

真冬に背中を押されながら、渋々、席に着くと、すぐに担任が来た。








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