BLEACH短編
□捕らわれた少女
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「湧の顔、真っ赤になって美味しそうだね。」
周りから音がなくなった。
「……湧さん??」
幼馴染のイヅルに飲み会に誘われた。
六席の私にとって少し怖くもあったが、来てみればみんな優しくて、気分よく一角さんと呑んでいるところだった。
「ゆ、弓親…お前…?!」
一角さんが叫ぶから周りの人たちも何事かとこっちを見る。
「一角も思うだろう?湧の頬、綺麗に色づいている。」
弓親さんが身を乗り出して私の頬に指を滑らせるのを呆然と受け止めた。
遠くでイヅルが目を見開いているのが見える。
「湧、隣に座ってもいいかい?」
「はいっ…!!」
綺麗な笑顔に思わず即答すれば彼は目を細めてにっこりと微笑んだ。
私の隣にいた一角さんは無言の圧力に負けてすごすごと逃げてゆく。
「ゆみちかぁ〜珍しく酔っ払ったみたいね〜!!」
直属の上司である檜佐木先輩はきゃはははと騒ぐ乱菊さんの隣でぶっ潰れている。
イヅルが何か焦った顔で口をパクパクさせているのは何なんだろう。
私がイヅルを不思議に思って見ていると弓親さんに肩に手を置かれ、意識を引き戻された。
「湧、僕は君が知りたい。君も僕が知りたいと思わないかい?」
弓親さんの顔がどんどん迫ってきて、緊張で声も出ないし頭も働かない。
「あれ?また赤くなったね。恥ずかしいのかな?」
振ろうとする首は動かない。
「美しい目をしているね。」
ねぇイヅルこれどんな状況なの?
乱菊さん、笑ってないで弓親さんを止めて…
「周りなんて気にしないで。まぁ、君はもうすぐ僕のことしか考えられなくなるんだけどね。」
視界にはもう弓親さんしか入っていない。
体が石のように固まって、近づく顔をどうすることも出来ない。
「目は閉じないで。僕を見ていて。」
綺麗なウインクを一つ。
後頭部に添えられた手に何が起こるか理解した瞬間。
「っ……!!!」
「弓親…!!!」
「嘘だろ…。」
それは思っていたよりずっと優しい、彼の唇。
遠くで乱菊さんの高い嬌声が聞こえた。
【捕らわれた少女】
乱「弓親やるぅ〜!!お祝いねっ!」
イヅ「一角さん…。」
一角「信じらんねー…。」
イヅ「僕は一角さんが湧を呼んで こいと言うから誘ったのに…。」
一角「弓親に取られた…。」
恋次「………………////」
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