青風と七武海

□最後の命令
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*頂上決戦の1ヶ月後(エドワード・ニューゲート死亡)


新世界入り口のある島に辿り着いたユウは赤旗を掲げた海賊船を見て固まった。

「ド、ドドドドレーク少将…。」
ユウは今でこそ七武海として海賊だと名乗っているものの元は海兵。
ドレークとはお互い海兵時代は世話を焼いてもらっていたが、海軍を辞めて海賊になった彼と海軍を辞めて七武海になった自分を比べると何となく顔を合わせ辛いものがあった。

七武海は自分が望んで実力でもぎ取った後ろめたいものなど一切ない地位であったが、ドレークや共に海兵を辞めた彼らを思うと自分だけぬるま湯に使っている気がしないでもなかった。

ユウは自分が島に来た理由を思い出して慌てて中心地へ向かっていった。

新世界の中で人の住める島というのはどのくらいあるのか分からないがここは少なくとも街がある"普通の"島だ。
しかし頂上決戦で白ひげが敗れた今、彼らの領土は狙われ平和は簡単に崩れ去った。

街に掲げられた白ひげの海賊旗は破り捨てられ、街の中心部からは大砲の音が聞こえる。
ユウは島の様子に眉を顰めて戦いの音がする方へと走った。

「ユウ……!!」

中心部に着く前に何やら大きな集団がいるなと思いながらその横を通過したユウは突然声をかけられ、その声が余りにも聞き覚えのあるものだったので弾かれたように立ち止まった。
集団の中から出てきた一際存在感のある男はユウが想像していた通りの人物で。

「ユウ、久しぶりだな…。」
昔のように優しい声をかけてくるドレークにユウは棒立ちになったまま動けなかった。

「ドレーク少将…。」
「もうとっくに少将なんて肩書きは捨てたのだが。」
ドレークは苦笑した。
「一つだけ聞かせてくれ。」
「何よ。」
「お前が七武海になったのは俺が海軍を辞めたせいか?」

ユウは予想もしていなかった質問に驚いた。

「そんなことない!私は元々海軍が合わなかったしずっと七武海になりたかった!」

慌てて否定すればドレークはそうか、と頷いた。
まさかそんな風にドレークが考えていたなんてユウは考えもしなかった。

「それはそうと、ユウは俺を捕らえにきたのか?」
話し方からしてどうやらそうは思ってないが取り敢えず茶目っ気たっぷりに海楼石の手錠を振り回すとドレークも剣を抜いた。

「まぁまた昔みたいに剣の手解きでもしてもらいたいけどね、私忙しいんだった!」
「能力を手に入れたのにまだ剣を使っているようだな。忙しいとは…もしかしてあいつらのことか?」

ドレークな長い顎…(ダメだ殺される)…で示した方を見るとインペルダウンLv.6から脱獄した囚人の頭が見えていた。

「うわ、やっぱり実際会ってみるもでかいな。」
「やはりそうか。インペルダウンで集団脱獄。海軍は隠しているようだが?」
「そりゃ隠すよ。私は島に安全をもたらすため、頂上決戦で戦わなかったおかげで危うくなった自分の地位を守るためにあいつを生け捕りにしなきゃなんないんだ。」

言いながら溜息が出てきた。
殺すなら簡単だが生け捕りにするのは面倒だ。

「手伝おう。」
「ダメだよ。バレたら赤犬に殺される。」
「では恐竜に変身せずに」

食い下がるドレークが引かないのを知っているユウは久しぶりに共闘もいいかと諦めた。



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