ONE PIECE短編
□優しいハリケーン
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ここ最近ものすごく貧血だ。
朝起きてベッドの中で溜息をついた。
もうすぐ朝食だろうか。
昨日サンジの目の前で椅子から立ち上がった時に貧血で一瞬クラっときたからもしかしたら増血用ご飯になっているかもしれない。
彼は目敏い人だから。
ナミとロビンはとっくに部屋から出ていってしまった。
自分も早く朝ご飯食べに行かないと。
ベッドの中でもぞもぞと着替えて、寒さに打ち勝つ様にベッドから飛び出した。
あれ、貧血治ってる?
調子に乗って勢いよく部屋から飛び出したところでクラっときた。
目の前が真っ暗になるだけに留まらず意識が飛びかける。
この間スリラーバークでオーズの拳をまともにくらった時と同じ感覚がする。
「ユウちゃん…!!」
体が壁伝いにズルズルと沈み込むのを誰かが後ろから受け止めた。
「ユウちゃん、貧血?しっかりして。」
タバコの匂いがフワッと鼻を掠めた。
やっぱり彼は貧血だって知っていたのだ。
頭だけ熱を持ち、妙に冷たい体をサンジが緩く抱きしめてくれた。
「サンジ…くん?」
「なんだい?」
「どうしてここに…?」
「だってゆうちゃん最近貧血気味だったでしょ?いつもより朝遅かったから倒れてるかもしんねぇって思って。…来て良かった。」
ありがとうと言う代わりに体に回された腕をギュッと掴んだ。
「チョッパーに薬お願いしような。俺の増血ご飯もちゃんと食べて。」
うん、と頷けば強めに一度抱き締められた。
「サンジ痛い。」
「ごめんごめん。」
サンジが笑って二人の体は離れ、朝ご飯行こうかと私は口の中で呟いた。
「来てよかったよ。」
「うん、ありがとう。」
「ユウちゃんを抱き締められた。」
ニヤッと笑った彼がかっこよかったなんて絶対言ってやらないんだから。
すぐに調子に乗るからね。
優しいハリケーン
(おい、クソコック遅え。)
(何よゾロ。心配ならあんたがユウ迎えに行けばいいじゃない。)
(…チッ…。)
(ユウだけメニュー違うぞ!)
(おい、ルフィ!ユウのご飯だけは絶対食べるなぁ!!)
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