ONE PIECE短編

□不可解な関係
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「よぉ、隣空いてるか?」
「…キッドじゃん。」
何となく大学の1番大きな学生食堂のカウンター席に座ってクリームソーダを飲んでいたら隣にキッドが来た。

「ナミ、彼氏と別れたらしいよ。」
「へぇ、そりゃよかったな。」
「どうして?」
「あん?あのおっぱいが公共のものになってよかったじゃねーか。」
「それ本人に言ったら殺されるよ。」
ナミが怒ると文字通り雷が落ちるらしい。
魔女か。
魔女なのか。

「でもロビンの方が胸大きいらしいよ。」
「マジか。あいつのは見てるだけでムラムラするんだよな。」
「大人の色気だね。」
浅黒い肌がまたいい。

「そういやお前、こんなところで何やってんだ?」
「ん?ロー待ってるよ。」
ほんと、どこにいるんだあの人。

「お前ら…いや、何でもねぇ。」
キッドが飲んでいるアメリカンを掠め取ればコーヒー飲めるのか、と心配された。

「キッド、これ不味い。」

コーヒーは飲めない訳じゃない。
ミルクをたっぷりいれたローが私の為に作ってくれるものなら。

「不味くねぇよ!!食堂に謝れ!!」

「何そんなに騒いでんだ、ユースタス屋。」

待っていた声がして振り向けば目の前にローのお腹があってムギュっと抱きしめられたことが分かる。

「ねぇ、キッドのコーヒー飲めなかったの。ローの作るコーヒーが飲みたい。」
「じゃあお前ん家寄ってやるよ。」
「夕食もどう?」
「いいな。一品作ってやる。」
「じゃあスーパー寄ろうね。」
「おい。」
キッドが口を挟んできた。

「どうしたの?」
「お前ら本当に付き合ってねーのか!?」

前にもキッドにそう聞かれたことがある。
ローが手当たり次第に女抱くのをやめてずっとお前と一緒にいる。
付き合ってんのか、と。
正直私も分からない。
好きだの愛してるだの言われたことはないし、ましてや抱かれたことも手を繋いだことさえない。
肌を合わせなければ大丈夫なようで服越しだと抱きしめたりはしてくるのだけれど。

周りは私たちを付き合ってるのだと勘違いしているのだろうし、私もそれは仕方がないことだと思うのだが彼は違うらしい。


「馬鹿言うな。俺たちはそんな低俗な関係じゃねぇんだ。」


キッドは訳が分からないと首を振るし私だって訳が分からない。

でもいいんだ。
彼が、ローがそれでいいのなら。

きっと彼はちゃんとしたお付き合いーー精神的な男女交際をしたことがないのだろう。
触れてみて分かる。
私が彼の肌に指先で触れる時、彼は嬉しそうで幸せそうで同時に少し震えるのだ。

不器用な彼がいつか私を好きだと、愛してると言ってくれるように。
いつか布越しではなく肌と肌を合わせる日がくるように。

その時まで私はローの隣で静かに笑っていようと思う。

「ユウ、帰るぞ。」
「うん、帰ろっ。」


不可解な関係

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こんなローさんが私は1番好きかもしれないです。
良ければ感想などお願いします。


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