ONE PIECE短編

□オレンジ色の境界線
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食堂で航海日誌を書いていたら何人かのクルーがやってきた。

「キラーさん!ユウなんとかして下さい。」
「誰も甲板に出れないんですよ。」
「は?」

いったい何を言っているのかさっぱり分からない。

とにかく出てみて下さい、と無理矢理立たされて甲板に押し出された。

外はちょうど夕日が沈む時間帯で空も海も甲板も、全てがオレンジ色に染まって綺麗だ。





そのオレンジ色の光の中にユウは座っていた。
膝を抱えて座るその後ろ姿は、広大な海に比べればなんと小さいことか。

確かにクルー達の言う通り。
本人にはそんなつもりはないのだろうが、これは近づきにくい。


ゆっくりユウへと近づくも、振り返ってはくれない。

隣に座り込んでみる。
ここまでくると流石に反応せざるを得ないだろう。


そっとユウの顔を伺う。

ユウは全くの無表情で前方を見ている。

夕日に輝く海を見ているのだろうか。
何かもっと先の未来を見ているのかもしれない。

こいつはそんなやつだから。




『越えていけるかな。』

「さあな。」





何を?




ーーーー全てを




そしたら答えが見つかるかもしれない。


キッドのも、おれのも。



お前のも。






おれ達はただ前を見る。



行き先を見失わずに。







オレンジ色の境界線





もうすぐ夕日が沈む。

取り敢えず最後まで見ようか。

空と海の境界線を。



消える瞬間まで。

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