ONE PIECE短編

□君の無能さに感謝
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久しぶりの残業を終え、ユウはデスクに座ったまま大きく伸びをした。

昨日は少し夜更かししたから今日は早めに寝ようと思っていたのに。

シャチがミスるから。

『あのバカ。』

もう10時だ。
家帰ったら10時40分。
お風呂入ったら11時前。

「俺が送って行ったら10時30分には帰れるんじゃないか?」

『…ペンギン。』

いつの間にいたのやら。

同期で隣のフロアのペンギンが真後ろに立っていた。

『あたしの家知ってるの?』

「だいたいは。」

ペンギンに送ってもらう…か…。

「俺なら誰かさんと違って安心なんじゃないか?」

でもなんか悪いしな。

「シャチのミスは俺のミスだ。」

『あれはばかシャチの…。』

「分かった。」

ペンギンは1つため息をついて腕を組んだ。

「俺に送らせてくれ。」
……え?
「ほら、早く行くぞ。お前をこんな時間に1人で歩かせられるか。」


あれ?
ペンギンってこんなにいい匂いしたっけ?

シャチ、ありがとう。

君の無能さに感謝

「ほら、着いた…寝てる。」
『寝てない。』
「今にも寝そうじゃないか。」
『起きてる。大丈夫。』
「なら…いいが。」
『今日は本当にありがとう。』
「ああ、…シャチに礼を言わないと…。」
『え?何?』
「フッ…なんでもない。おやすみ。」
『おやすみ。本当にありがとう。』





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