ONE PIECE短編

□飛ぶ、白い光
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最近、この船に新しい仲間がやってきた。
名前はユウ。

ルフィーが街で拾ったと暴れまわる女の子を連れてきた時にはみんな驚いたもんだ。

その子は賞金首で、しかも新聞なんか目もくれねぇルフィーが偶然目にした今朝の朝刊に載っていたらしい。

ユウちゃんは初めこそ奴隷にされるのか売りに出されるのかと警戒していたが意外とすぐに馴染んだみたいだ。

「ユウはどこ行ったの?」

晩飯の用意をしていたらナミさんがキッチンのドアを開けた。

「ナミさん!いやぁ、知りませんけど?」
「そう、いいのよ。最近私のそばにいなくなったから寂しいわね。」

少し嬉しそうなナミさん。
ずっとナミさんやロビンちゃんの後ろをコソコソついてまわっていたユウちゃんは最近、フランキーやウソップ達とも遊んでいるらしい。
ナミさんはそんなユウちゃんの成長が嬉しいのだろう。

未だに俺やマリモには寄ってこないがたまにジッと俺を見つめておやつ頂戴、と呟く彼女は最高に可愛い。

そういやユウちゃんは髪も金髪に近い色で、それがまるで本当の妹のようで俺は嬉しかったりする。

はやく、俺ももっとユウちゃんと仲良くなりてぇな。
少なくともマリモよりは俺に懐いて欲しい。

あいつはユウちゃんのことを何て言ってたか…。
確か良い目をしているとかなんだか言ってた気がする。

賞金首なだけあるってことだ。

「よし、仕込み完了。」

あとは晩飯前に仕上げて終わりだ。
時間もあるし少しユウちゃんの様子でも見に行くか。

外に出ると海が夕日に染まっていた。

「なんだサンジー!飯かー!?」
「まだだ!!大人しく待ちやがれ!」

全く、人の顔見たらすぐ"飯か"なんて。
素敵な夕焼けにも吹き出しそうになっちまう。

船尾の方へ歩いていくと船縁に座って巨大なハンマーを振っているマリモがいた。

気味わりぃほどでかいハンマーだと思うが自分もあれくらいなら片足であげれるな、と思うとこの船に常人はいないことを思い出した。

もうすぐ飯だからそろそろ風呂でも入ってきやがれ、何なら海に飛び込んで汗流すか?

そんなセリフを吐こうとした俺は目の端に映った真っ白な閃光に体が凍りついた。

「ゾロッ!!!」
それは叫びながら一瞬で俺の横を走り去り、なんと…。

「うがぁ…!!!!」
「ユウちゃん…?!?!」

マリモの振っていたハンマーに飛びついた。

マリモは奇声をあげて突然、人一人分重くなったハンマーを慌てて支えなおす。

一瞬ヒヤッとした。
マリモを信じていないわけではないがユウちゃんごとハンマーを海に放り出してしまうのではないかと思った。

「お前…!!あぶねぇだろーが!!」
「だって…。」
「…ほら、降りて来いよ。風に攫われるぞ。」
「そんな弱くないもんね。」

ハンマーにしがみついたユウちゃんと未だそれを頭の上で持ったままのマリモがおかしな会話をしている。

確かにハンマーの上で真っ白な短いワンピースをはためかせるユウちゃんは風にでも攫われてしまいそうだ。
あのマリモもそんな発想が出来るのか。
だいたいユウちゃんはどうやってあのハンマーに飛びついたのか。
そんな短いワンピースで無茶なことしちゃダメだって教えないと。

色々と思うところはあるはずなのに、俺の心はそんなものには構っていられない。

「ユウちゃん…マリモと仲良しじゃねーか…。」

飛ぶ、白い光


「あらー、ユウちゃんゾロがお気に入りなのね。」
「ナ、ナミさん…?!」
「サンジくん残念ねー。」
「……クソっ!!」


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