ONE PIECE短編

□激情に染まる青
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「キラーって女の人口説くの?」
「……は?」

カ◯ピス色の仮面がこっちを向いてピタッと止まった。

「いや、キラーって女に興味あるのかと。」
「無い訳ではない。」
「でも今こうしてるのキラーくらいだよ?」

つい4時間ほど前、この島に上陸したキッド海賊団は今、私とキラーを除いて誰も船にいない。
辺りはもう薄暗くて…たぶん女の人と楽しいことでもし始めているのだろう。

「そういうのは特に困っていない。」
キラーは何となく憮然とした口調で言った。
「いや、あの、別に私1人でも船は守れるから…(たぶん)…キラー行ってきていいんだよ。」
「だから別に興味ないと。「待って。」…。」

私は大切なことに気がついた。

「キラーって仮面被ってるのにどうやってヤるの?」
「…ずいぶん単刀直入に聞くな。仮面があっても出来るだろう。」

あ、やっぱり仮面つけたままか。

「知らない女の前で仮面を脱ぐ気にはなれない。」
そりゃそうだろう。
私だって仮面を取ったキラーなんてほとんどみたことがない。

「っていうかさ、キラー。」
「なんだ。」
「仮面つけてるのにモテるの?」
「…別に誰でもいいんじゃないか?」
ああいう職業の女はな、とキラーが続ける。

どんな女の人だってかっこいい方がいいと思うんだけどな。

「やっぱりキッドはモテるの?」
「あぁ、モテるな。」

あれはあれでやる気出せば色気あるからなぁ。

「キラーってさ。」
「…なんだ。」
ずいぶん警戒しているな。

「キス上手いの?」


「……は?」


「いや、だって仮面つけてるじゃん。キスしたことあるの?」


あれ、今なんとなくキラーの金髪が膨れ上がった気がする。


「そういうお前は上手いのか。」

キラーこそ単刀直入に聞くね。

「やだなぁキラー。私、キッドにキスされたことあるしたぶん出来るよ。」




「………は………??」

前にねーお酒飲んでた時にねー無理矢理キスされてねーあれは凄かった。
しばらく立てなかったもん。
あの人無駄に音立ててキスするし、腰も撫であげられるし、たまったもんじゃないわ。

「次の日には忘れたなんてぬかすしねって…キラー??」

重い足を必死に動かす様な歩き方で近寄ってくるキラー。

「え、何?!怪我してるの…?」

ザッ…ザッ…

「ユウ。」
「は、はい!」
「お前、キッドとキスしたのか?」
「う、うん。」
「キッドは上手かったのか?」
「え、あ、まぁ…うん。」
「そうか。仕方ないな。」

何が、と聞こうとしたら肩をガシッと掴まれた。

「なになになになににに…!!」
痛い!いや痛くないけど!

普段動かない空気を纏っているかのようなキラーからビシビシと感じる激情。

「っ……。」
キラーがサッとあげた右手に思わず目を閉じるとガコンと変な音がした。

目を開けるとフサフサした柔らかい金髪。
そこから垣間見るは…綺麗な青。
仮面が遠い向こうに投げ捨てられているのが見えた。

キラーの目って澄んだ青なのね。

そう言ったはずなのに口は動いても声が出ない。

「思い知ればいい。」
「キラッ…!!」

予想もしていなかった突然のセリフに聞き返そうと思った瞬間、抱きしめられて息がつまった。

「思い知ればいい。」
苦しく張りつめた声に顔を上げれば目を合わせる暇もなく振ってくるキラーの唇。

唇…?!

「んぐっ…!!!」

甘いなんてもんじゃない。
喰らいつくようなキスに、キラーに、眩暈がする。
本当に食べられてしまいそうだ。
溢れる劣情を抑えきれないのか、キラーの舌が私の唇を舐め回す。

「口を…開けろ…。」
余裕のないキラーの声。

「やっ…ぁ…!!」
腰を撫でられて、思わず声を漏らすと熱い舌が入ってきた。

「ユウ…。」
「んはぁ…ぁっ…!!」

普段の様子からは想像も出来ない、激情に突き動かされるようなキラーに頭が真っ白になって、キスが上手いかどうかも分からない。

着ていたシャツはたくし上げられ、直に腰を撫でられる。

キラーから浴びせられる刺激に思わず腰が抜けそうになればより一層抱きしめられる力が強くなる。

「もう…やめ…ひゃぁ…!!」

追い打ちをかけるかの様にキラーの舌先が口蓋を刺激するとついに私は立っていられなくなった。

甲板へと力なく沈む体に合わせて、私を抱きしめたままキラーも座り込む。


「上手いか上手くないか考える暇もなかっただろう。」
「え…??」

長い前髪の間から見えるキラーの右目がまっすぐ私を射抜いた。


「キッドの心のないキスなどに負けるわけがない。」


激情に染まる青


「あんなキラー初めて見た…。」
「(柄にもなく嫉妬してしまった…。)」
「キラーって爆発したら止まらないタイプだよね。」
「本当に止まらなかったらどうなるかやってみるか?」
「た、助けてヒート…!!!!」

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