海賊パロ原稿

□太陽の愛情
1ページ/1ページ


太陽の愛情






寝起きっぽい虹村さんが入ってきて食堂は一気に会議モードだ。
まぁ海賊の戦闘会議なんてそんなにお堅いものでもないんだけど。

ちょっとみんなギラギラしてくるだけで。


パンを丸呑みしてミルクを流し込んでいると、左隣に現れた花宮に笑われた。

「よぉ、久しぶりだな。」
『うん…花宮寝不足だ。』

顔色の悪さを指摘すると花宮は肩を竦めた。





「あー、こんな朝っぱらからするか?普通。」
「虹村さん、目を覚まして下さい。」

キャプテン相手にも容赦ない征が、濡らしたタオルをキャプテンの顔に押し当てる。

「起きてるっつの。」

タオルで顔を拭いてからキャプテンが立ち上がってため息をついた。




「お前らも気づいていると思うが、黒子が持ち帰った情報が元で俺たちはこれから戦いを仕掛けることになると思う。大掛かりなやつだ。」

青峰がニヤリと笑った。


「コルテカ島、覚えてるか?昔俺らが統治してただろ。」


チラリと隣を見ると真太郎が頷いた。

私も覚えてる、別に何があったって訳でもないけど。





海賊団は島を統治することがある。

統治とは言っても島の港なんかに海賊旗を掲げておくくらいだ。

その島で別の海賊団が暴れたりしたら制裁を下しに行く。
だから悪い噂のある海賊団でも、強い海賊団の統治する島で迂闊に暴れたり出来ない。


島の安全のために強くて大きな海賊団に統治をお願いすることもよくある。


コルテカ島は小さな島で特別資源も何もなかったけど、確か、誰かの出身島なんだ。


誰だっけ、そうだ…火神だ、たぶん。


キッチンカウンターの向こう側で火神は落ち着いた顔をしていた。



「火神の出身地ではないのだよ。」

真太郎が呟いた。

『え?』
「お前は詳しいことは知らないのだろうが、この海賊団に入った時にたまたま火神が一時滞在していただけだ。」


そうだったんだ。
良かった…いや、良かったって訳じゃないか。


「最近、話題になってる海賊団知ってるか?ついこの間壁を越えてきたルーキーだ。」

この世界の海は大きく2つに分かれている。

この海賊団が今いるのは本当に文字通り壁…というより山を越えてやってきた海、グランドラインと呼ばれている。

壁を越える前は東西南北の4つに分けられている。
今ここにいる人の多くは東の海出身だ。



壁を越えてグランドラインに到達したら一人前の海賊団。

私たちは今グランドライン前半の海にいるが後半の海はもっと危険に満ちていると聞く。



「この間やっとグランドラインに入ってきたのかよ。大したことねぇだろ。」


青峰がケッと笑ったが、彼からしたら大抵の海賊は大したことないだろう。


「その海賊団…名前はセルカーク海賊団だが…がコルテカ島を襲った。」



まぁそうだろうね。


「規模は大きくないが未だにあの島は俺たちの海賊旗が掲げられていたらしい。その旗を見ても侵略をやめなかったわけだ。」

テツヤを見ると頷いていた。

「セルカーク海賊団の船員はうちの5倍以上。能力者は3人。」


船員がうちより多いのはいつも通りだ。

能力者が3人か、壁を越えてすぐの海賊団にしては多い。

まぁうちの海賊団も壁を越えた時点で能力者は征、青峰、真太郎、むっくんの4人だったけど。

つまりこれから大きな勢力にのし上がっていく可能性がある海賊団というわけだ。

「能力者が3人、能力によっては勝てねぇぞ。」

花宮が冷静な声で指摘する。

「いけるだろ。」

それに比べてキャプテンは余裕の表情。

「あっちの海賊団に負けるほどお前ら弱くも運悪くもねぇだろ。」

征も笠松さんも何も言わない。

虹村さんが言うんだからそうなんだろう。

「ただ負けはしないかもしれないが誰かが死ぬことは考えられるな。ということで新しい試みだ。」

新しい試みというセリフに食堂が騒つく。

「ちょっと待って下さい、その能力者の能力は分からないんですか?」
「あとで追い追いな。」

伊月の質問にキャプテンは手をヒラヒラさせた。
キャプテン楽しんでるな。


「即興で協力し合うことはあれど、今まで俺たちは一人一人が好き勝手に戦ってきただろ?」

戦いの助っ人が得意な私は特にそうだ。

戦況を見て危ないところに手を差し出す。


「今度の敵はとにかく多い。しかも拠点をコルテカ島に置いているとあって船上での戦いにならない可能性も出てきた。」


島の建物を占拠しているということか。


「ということで俺が昨日あみだで班を作った。」


『えっ?』
「はっ、ゔっ、ゴホッ…!」

珍しく花宮が噎せた。

真太郎もビクッと体を震わせて私を見るがそんなことに構っていられない。

「あみだくじだ。あみだくじで俺抜きで5班に分けた。…おい、お前らこれは赤司の案だぞ。」

一斉に向けられた白い目にキャプテンが憮然とする。

『ほんとに征の案?』
「あぁ、建物内での戦いだしチームを作ってやった方がいいんじゃないかと思ってね。あみだはまぁ…取り敢えずやってみて無理そうだったら変えるよ。」

征も楽しんでるんじゃん。

真太郎も溜息をつきつつも反対する様子はないようだ。

「そんでクジの結果はどうなんっすか?」

完全にワクワクしている高尾。

「俺以外の名前と番号を5まで書いた。クジは今からやる。」

いえーい、と高尾が笑った。
みんな結構ワクワクしてるみたいで、きっと青峰や一哉なんかは誰と組もうが関係ないのだろうけど。

『うち虹村キャプテン抜くと28人だよね。』
「小金井水戸部はセットにしてるぞ。」
「あざーっす!水戸部よかったな!」
「6、6、6、5、5だろ、人数。」

ざわざわしてきた。
私はどうなるだろう。
正直誰となろうがあまり問題は起きない。

「よし、じゃあ1班!」

キャプテンがぐしゃぐしゃの紙を持って声を張り上げた。

右手の赤いペンは今からクジを辿っていくのだろう。


「いくぞ…実渕!黛!笠松!山崎!原!」
「いいね!」

一哉がザキにハイタッチを求める。

ザキもは?っと言いながらも嬉しそう。

「…それから木吉!」

黛さんが本気で嫌そうな顔をしているのが面白い。

でも1班は能力者いないな。

「次2班なー!いくぞ…青峰!緑間!」

既に能力者二人。

「花宮!」

さっきの黛さん以上の顔の歪みを花宮は披露してくれた。

「森山!…黒子、お前一応ここな。」

テツヤの使い方はまだ迷ってるってことか。
それか直前にならないと判断がつかないか。

三人も能力者がいるのは

それにしても2班は森山さんが苦労しそうだ。

「じゃあ次3班!…氷室!桜井!宮地!それから小金井と水戸部!紫原!」

能力者はむっくんだけ。

けど辰也も生身で能力者みたいなもんだ。

基本的に常識人の多い纏まりのよさそうな班。

「宮地さんお願いしますね。」
「おぅ、任せとけ。」

宮地さんが既にリーダーみたいになっている。

「次4班!呼ばれなかったやつは5班だぞ!」

私まだ呼ばれてない。

「4班は、おぉ、赤司!」
「やっときたか。」
「そんで黄瀬!」

涼太、征と一緒か。

「高尾!伊月!」

鳥の目コンビ。

「それから降旗!」

征と光樹一緒か。

ってことは。

「5班は今吉、諏佐、湧、日向、福井、火神だな。」

すごい、今吉諏佐コンビがいる。

でももしかしなくても5班、一番まともな班じゃないか。

「よろしゅうな。」
「よろしく。」

食堂の向こう側から諏佐が手を振った。

『チーム戦なんてやったことないけどこのメンバーならいけそう。』
「花宮と青峰…。」

真太郎がブツブツ呟いているけど大丈夫だろう。


「まぁチームとか決めてはみたものの、やることはいつもと何も変わらねぇ。」


虹村キャプテンがにかっと笑った。

「俺はお前らのこと信じてるからな。」




良くんの喉仏が動いたのが見えた。




------------------------------------

本当に、本当にあみだくじで決めました…カオス。
あと題名もちゃんと考えてつけてますよ。笑





.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ