BLEACH中編

□君に誓う
1ページ/1ページ

市丸隊長、貴方は僕に何をしたいのですか?

ギンちゃんが発した言葉の衝撃に僕はしばらく言葉が出なかった。

「イヅル何で何も言わんの?湧のこと守られへんの?」
「こらこら、ギンちゃん。イヅルさんはたくさんの命を背負ってるのよ?」

「ギンちゃん。」

少し困ったようにギンちゃんを諭す湧を遮って正面からその目を見つめた。

「約束するよ。僕は何があっても湧を絶対に守りきる。」

ギンちゃんに強い視線を向ければ彼はニコッと笑った。

「うん、そう言うてもらわんと困るわ。」

そう言った彼は今までで一番市丸隊長らしくて。

本当にこの子は市丸隊長じゃないのか。
僕らは市丸隊長に騙されているのじゃないかって。
あの人なら幼くなって耳と尻尾をつけて霊圧を完全に消すなんて実は簡単に出来るんじゃないかって。

僕は信じられない想いでギンちゃんを見ながら彼の頭を撫でた。
フサフサした尻尾がピクピク動いて僕の頭の中をぐちゃぐちゃにする。

「イヅルさん…。」

どうしてそんな約束をするのかと言うように湧が揺れる視線を向けるから今度は彼女に向き直った。

「実はもっと前に誓っているんだ、市丸隊長に。君のことを守るって。」
「え…隊長に…??」
「そう、傷つけたら湧ちゃんボクに頂戴、なんて言われて…。」
「ぼ、ぼくに頂戴…?!」

僕の下手な隊長の真似を笑ってくれるかと思ったのに純粋に言葉に驚いている。

「いや、その前に、イヅルさんに守ってもらうだなんて…!!私がイヅルさんをお守りする立場で…!!」
「湧。」

名前を呼んでギンちゃんを抱いていない方の彼女の手を握れば真っ赤になる貴女が愛しい。

「湧、君を僕に守らせて下さい。」

湧の瞳が一気に潤む。

「市丸隊長のためにも、この子のためにも。」

流れ落ちそうな涙を指で掬ってやる。

「そんな…私…幸せ者すぎます…。」

「なぁなぁ、二人でいちゃいちゃしてんとボクのこと構ってや…。」

ボソッと湧の腕の中のギンちゃんが呟いて僕らは慌てて離れた。

「ごめんね…!」

良い雰囲気をぶっ潰されるのも懐かしい。

またギンちゃんが湧に甘えだしたのを見て僕は立ち上がった。

「はぁ、そろそろ寝る時間かな?僕は布団をひいてくるよ。」




隣の部屋の押入れを開けて溜息をついた。

「これ、市丸隊長が一枚噛んでいるとしか思えない展開だな…。」

でも余り考えても無駄だ。

昔からあの人が企む色んなことに僕らは振り回されてきたじゃないか。

取り敢えずこれから湧と同じ部屋に寝るという状況を迎えることに全神経を集中させよう…。

「はぁ…どうしよう。」


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ