BLEACH中編

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あの日からどうしても気まずくて。
相変わらず平子隊長は飄々としている様に見えるけれど私は内心バクバクしている。

もう子供じゃないんだから普通に接しているけど、やっぱり沈黙は痛い。

私は今までよりももっと修行に励む様になった。
書類整理は朝と晩に詰めて、昼は五番隊か十一番隊の道場にいる。

もともと体力に余裕もあって、少しくらい忙しくても何ともないのが救いだ。

今日は十一番隊で修行。
一角との勝負が終わって今は弓親と端っこで見学している。



斬魄刀の話をしようか。
私の斬魄刀、"乱鬼砲"。
始解すると完全に形状は刃物から外れ、黒い細めのバズーカのようになる。

出てくるのはもちろん鬼道。

笑っちゃう。
斬魄刀は死神の魂って本当だ。

始解状態で詠唱破棄でも、通常の完全詠唱をやや超える威力を発揮してくれる。

ただ少し重いというか──いや、他人の始解と比べたら普通だけど──持ちながら完璧な身のこなしでいられるかと言われれば怪しい。


「だから湧はそのバズーカを持って一角の攻撃を避け続けるなんて訓練してるんだね。」
『うん、バズーカじゃないんだけどね。強い敵はとにかく隙を作って背後からズドン。』


そういや阿近さんに見せたら手持ちの無反動砲っぽいって言われた。
現世の無反動砲だって乱鬼と同じで少し反動がマシ程度らしいけれど。

あと、かなり斬魄刀と良い関係を築けてるとも褒められた。
阿近さんそんなことも分かるんだな。
ちなみに精神世界にいる乱鬼は阿近さんに少し似ている。

「美しいか美しくないか分からないよ。」
『直接攻撃系とは程遠いよね。』

別に私は直接攻撃だけが美しいわけじゃないと思うけれど。

「でも戦う湧は美しいよ。」

いや、弓親のそのウインクの方が美しいです。

「君の耳元で美しいって囁き続けたら君はもっと美しくなるのかな?」
『ん?やめて。死ぬよ。』

時折、一角がこっちに吹き飛ばしてくる隊士達を右手に握った木刀一本で吹き飛ばし返している。
うん、弓親やっぱり美しい。

のほほんと二人で一角の光る頭を眺めていると。

伝令神機が震えた。

『えっと…流魂街に大虚を含む大量の虚発生…へぇメノス…ってうちの担当地区!』
「行ってらっしゃい。気をつけてね。」

弓親に見送られて私は斬魄刀を握りしめて五番隊まで走った。




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