BLEACH中編

□眠り姫
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〈これはまだ湧が入隊して一年にも満たない頃の話。連載の10を読んでからの方が分かりやすいかと思います。〉










疲れの溜まっていた平隊士の湧を心配して彼女の全教育権を任されていた10席の檜佐木は午後から彼女を非番にした。

突然暇を出された湧は行く宛もなく瀞霊廷をフラフラと彷徨っていた。

しかし歩き始めて20分、真っ直ぐ家に帰らなかったことを後悔し始めていた。
頭がフラフラする。

ちょうどよい木陰を探し湧はそこに座り込んだ。


眠い。

疲れた。

もうここで寝てしまおうか。


そう思った瞬間。

「やぁ、君は蘭乃湧くんだね。」

突然背後から声を掛けられて湧は跳び上がりそうになったが肩を押さえられた。

顔だけ後ろを振り向くとそこには……


『う、浮竹隊長…?!』
「やぁ、初めまして。」
『は、初めまして…。』

ただの隊士にとって隊長とは神のような存在。

完全に眠気の吹っ飛んだ湧は立ち上がろうとしたのだが。

「おっと危ないっ。」

フラついて浮竹に支えられる。

『すみません…。』
「大丈夫かい?君の事情はよく知っているよ。今日は非番なのかい?」

この人は自分の何を知っているのだろうか、湧はそう疑問に思ったが余り気にせず頷いた。

「そうか。では雨乾堂に来るといい。実は僕も本当は床に伏せていなくてはいけなくてね。抜け出して来たんだよ。僕の話し相手になってくれないかい?」

人の良い笑顔でそう言うと浮竹は湧の言葉も聞かずに彼女の腕を掴んだ。

「それに眠るならこんな所より雨乾堂の方がいいよ。」



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