音大シリーズ

□ゆーすたすや…?
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音大
新世界音楽大学は素晴らしい教授陣が揃っているだけではなく、練習環境も最高だ。
国内最高の音楽大学なんだから当たり前かな。

レッスンが始まるまでのためになんとか練習場所を確保したい私は大学の一階で彷徨っている。

大きい割にわかりにくいんだよね。

「あら、新入生かしら?」
構内地図と睨めっこしていたら話しかけられた。

「あ、はい!」
美しい黒髪の長身の女性。

「私が案内してあげましょうか?」
艶やかな笑顔で見つめられて思わず顔が赤くなったかもしれない。

「お、お願いします!あ、今年入学しました、ピアノ科の#NAME2##NAME1#です。よろしくお願いします!」
「あら、ピアノ科なのね。私は声楽科のニコ・ロビン。三年よ。」

声楽科っぽい!
声も綺麗だし気品も充分…たぶんアルトだろうな。

「あの、レッスン室の予約がしたいんですけど…。」
「あぁ、あれね。ついてきて。」

ロビンさんに教えてもらい、一週間の予約を入れる。
どの部屋のどのピアノがどんな特徴を持っているのか知りたかったから出来るだけいろんな部屋を予約した。

まぁ調律とかしたら変わるし、あまり差もないだろうけど。

「そういえば今年、作曲科なんだけど、私の知り合いが入ってくるの。良かったらまた紹介するわ。」

作曲科!!
違う科の友達が出来るのは嬉しい。
ロビンさんとまた会う約束をして私は寮に帰った。



寮に帰るまでに公園があって、綺麗な芝生が生えているのを発見した。
楽譜らしきものを広げた学生達が座っていたからたぶんみんなが集まる場所なんだろうな。

芝生と同じ色をした髪のゴツイ男の人がイビキをかきながら眠っていたがたぶんあれは学生じゃないだろう。

…いや、キッドさんもそうとう音大生には見えなかったし分からないな。
ビジュアル系だもん、クラッシックやってるようには見えないよ。

「誰の話だ?」
「ひっ…!!!」

突然声をかけられて飛び上がると後ろにはニヤニヤ笑う…トラファルガーさん…。

「お前全部口に出てたぞ。」
「ト、トトトラファルガーさん!!」
「俺はそんな名前じゃねぇ。」

相変わらず楽しそうに笑っている。

「トラファルガーさん…何で…こんなところ…。」
びっくりしすぎて、彼がいることもこんな風に笑うんだってことも、しどろもどろに聞くとまたトラファルガーさんは笑った。

「トラファルガーじゃねえ。ロー
だ。敬語もやめろ。」
確かに同期な訳だしそれもそうかと恐る恐る呼んでみる。

「ロ、ロー…?」
「あぁ、上出来だ。」
また楽しそうにトラ…ローは笑った。

こんな人だっけ?

「お前どこに住んでる?送っていってやる。」
「なっ…いや、大丈夫。」
「いいじゃねぇかお前の家教えろよ。」

そっちが目的なんだ。

しつこくついてこられて諦めた私は寮の場所を教えることにした。


「そういやお前、この間一緒にいたユースタス屋の親友とは付き合ってるのか?」

ゆーすたすやの親友?
ゆーすたすやって?

「米を買ってたな。同棲か?」
「え?!あぁ、キラーさんのことだ!そんな訳ないじゃん。お隣さんだよ。」

キラーさんと同棲…ダメだ恥ずかし死する。

「おい、なに馬鹿な顔してる。そんなにあいつのこと意識してるのか。」
「はぁぁ?!い、意識?!するわけないでしょ!」

慌てて言うと完全に馬鹿にした顔をされた。

「お前、実は馬鹿なのか。」
「馬鹿!失礼な…。普通だよ。」
たぶんローよりは馬鹿だけど。

「まぁお前の演奏を聞いている限り間違っても馬鹿だとは思えないがな。馬鹿に音楽はできねぇ。」

急に真面目な顔でそんなことを言うからどう反応していいか分からなくて頷いてみた。


トラファルガーは寮の入口までついてきて、何階の何号室かまでしっかり聞き出してから手をヒラヒラさせながら帰っていった。


(お前の奏でる"考えすぎた音"は嫌いじゃねぇよ。)
(自分のことは"ロー"って呼ばせる割に、私のことは"お前"なのね。)


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