■小説

□ダーリンキラー
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 ある日の昼下がり、ボンゴレ屋敷の執務室で執務を行っていた綱吉がふと口を開いた。
「リボーンも大変だよねー」
 突然話しかけられたリボーンは、目を通していた書類から顔を上げる。
「何だいきなり」
 脈絡がない綱吉の言葉に、リボーンは不審気に眉を顰めた。
 現在、執務室には綱吉とリボーンしかおらず、二人は無言でペンを走らせ執務を行っていたのだ。
 それなのに、綱吉は執務の手を休めて突然の『大変だよねー』発言である。
 それはあまりにも脈絡がなさすぎて、いくら読心術を得意とするリボーンでも真意は読めなかった。
「いや、だからリボーンも大変だなーって」
「だから何が大変なんだ」
 リボーンは訳の分からない綱吉の言葉に苛立ち、さっさと言えとばかりに綱吉を睨み据える。
 そんな不機嫌な様子を見せ始めたリボーンに、綱吉は「分かったよ」と苦笑混じりに発言の理由を口にした。
「ランボの事だよ」
「ランボ? あのアホ牛がどうしたってんだ」
 綱吉から出たランボという名前に、リボーンは興味無さ気に問い返す。
 実際今は執務中であり、現在行なっている執務にランボが関与している件は見当たらないのだ。
 だが。
「とぼけないでよ、リボーン。とうとうランボと恋人同士になったんでしょ?」
 綱吉の言葉は、リボーンの想定外のものだった。
 リボーンは綱吉の言葉を聞いた瞬間、何とも嫌そうに顔を顰める。
「……それを何処で聞きやがった」
 地を這うような低い声色。
 不機嫌さを隠そうとしないリボーンは背筋が凍てつくほどの怒気を放っていたが、その内心は苛立ちと驚きが渦を巻いていた。
 そう、綱吉の言葉は間違いではなかったのである。
 リボーンとランボの関係は、つい先日恋人という関係に発展したのだ。
 今までのリボーンとランボの関係は、ランボが一方的にリボーンを追い掛け回すというものだったが、とうとうそれが実を結んだのである。
 だがリボーンは、ランボと新しい関係を築いてもそれを態度や表情に出す事はなく、ましてや口外した記憶など一切無い。
 それなのに、それを綱吉が知っているという事が驚きだった。
 しかし、その驚きの原因は直ぐに解明される。
「ランボが嬉しそうに言い回ってたよ」
 笑顔とともに紡がれた綱吉の言葉。
 この言葉に、リボーンは思わず目の前の書類を破きそうになった。そしてそのまま愛銃を手に持ち、ランボを見つけしだい銃弾をお見舞いしたいくらいである。
「あのアホ牛……っ」
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