■連載小説A

□泣き虫ランボはリボーンの許婚
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「答えは……さ……3?」
「はずれ」

 ――――ドオオンッ!

「んぎゃあぁあ!」
 爆発音の中で綱吉の悲鳴が響いた。
 綱吉は現在テスト勉強中だが、答えを間違えるたびに爆発が起こるのだ。
 はっきり言ってこんなの勉強ではない、と綱吉は思ってしまう。
「どこに答えを間違えるたびに爆発起こす家庭教師がいるんだよ!」
 反感を覚えた綱吉は家庭教師であるリボーンに食って掛かるが、リボーンは表情も変えずに「ここにいるぞ」と切って捨てる。
「これが俺のやり方だ」
「間違ってるよ、ソレ!!」
 何の躊躇いも無くきっぱりと言い切ったリボーンに、綱吉は思わず突っ込んでいた。
 だが、そんな些細な突っ込みにもリボーンが表情を崩す事は無い。
「小遣いアップの為にテスト勉強頑張るって言ってたじゃないか」
「このままじゃ小遣いが上がる前にオレが昇天しちまうよ!」
 とんでもない家庭教師が来てしまったものだ……、と綱吉は思う。
 しかも信じ難い事に、この家庭教師であるリボーンは一歳にもなっていないのである。世間的には立派な赤ん坊なのだ。
 だが、リボーンは家庭教師であるのと同時にマフィアのヒットマンである。そんなリボーンは赤ん坊とは思えぬほどの頭脳と身体能力を有していた。
 こうしたリボーンを前に、綱吉は爆破でぼろぼろになりながらも「ったく、やってらんないよ」とやさぐれたようにそっぽ向いたのだ、が。

 ――――!?

「っんな!!??」
 そっぽ向いた視界の中に、とんでもないものを映してしまった。
 なんと、窓の外に牛柄着ぐるみ服を着たもじゃもじゃ頭の子供がいたのである。
 子供は庭木の枝上で銃を構えていた。
 これは誰が見ても尋常ではない光景である。
「ちょ……っ、おいリボーン! あれ!」
 焦った綱吉は子供を指差すが、リボーンは気付いているのかいないのか、「んじゃ、今のおさらいするぞ」とまったく視界に入れている様子はない。
 こうしている間にも、子供は「死(ち)ね、リボーン!」と銃の照準をリボーンに向ける。
 しかし銃口を向けられている筈のリボーンは「まずターゲットとなるのはこの数字だ」と完全に無視している為、綱吉はますます焦って顔色を変えた。
「リボーン、牛っぽい格好した変な奴が! こっち向けて!! ホラ!!」
 銃口がリボーンに向けられたまま、「それ!!」と無情にも引鉄が引かれた。だが。
 …………。
 響くはずの銃声は響かなかった。
 それどころか、銃口から銃弾が発射される事もなかった。
 子供は「ん?」と不思議そうな表情で何度も引鉄を引くが、その度にカチンッカチンッと空振りするような小さな音が響く。
 しばらく子供はそれを続けていたが、少ししてバキッ! と枝が折れる音が響く。
 そして。
「ぐぴゃあ!」
 子供は見事に落下した。
「な、なんだ!?」
 綱吉は落下した子供に驚き、慌てて窓を開けて外を見る。
 だが、子供は二階程の高さから地面に叩きつけられたというのに、「が・ま・ん」と涙を堪えて起き上がったようだった。
 この訳の分からぬ子供を綱吉は呆然とした面持ちで凝視していたが、起き上がった子供は何処かへ走っていく。
 綱吉はそれに首を傾げたが、次に響いてきたのはピポピポピポッとけたたましく呼び鈴を連打する音と、「リボーン君!! あーそーぼっ!!!」という子供の声。
 綱吉は嫌な予感がして表情を引き攣らせるが、不幸にも嫌な予感は的中してしまった。
 部屋の外から聞こえてきたのは、タタタタタッという階段を駆け上がる足音と「ガハハハ! 作戦成功!!」という子供の声だったのである。
 そして。
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