■連載小説「トリプル・トラブル」

□3人揃えばウザさ3倍
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 目立った事件や抗争の無い、麗らかな昼下がり。
 ボンゴレ屋敷にある綱吉の執務室には、相変わらずの顔触れが揃って紅茶の時間を楽しんでいた。
 その顔触れはボンゴレ十代目である綱吉を始め、彼の古くからの友人にしてボンゴレ幹部の獄寺と山本、そして同じくボンゴレ幹部でありながら超一流ヒットマンであるリボーンである。
 だが、相変わらずの顔触れとはボンゴレの者達だけで形成されるのではない。
 このボンゴレの者達に混じり、何故かボヴィーノファミリーのヒットマンであるランボがいた。
 ランボはリボーンを襲撃する為にボンゴレ屋敷を訪れ、それが失敗した後は綱吉に呼ばれて一緒に紅茶の時間を楽しんでいるのだ。
 本来なら、リボーンに対する襲撃もボンゴレ屋敷への潜入も決して許されない事なのだが、ランボが雷の守護者である事と、綱吉がランボの事を年の離れた弟のように可愛がっている事で特別に許されているのだ。ランボはこのボンゴレ屋敷でほとんど顔パス状態になっており、そのお陰で10年前から続けているリボーンへの襲撃を日課としていられるのである。
 そう、ランボは10年前からリボーンを倒す事を諦めていなかった。
 暇があればリボーンを襲撃し、その度に殴られたり蹴られたり、最悪の場合は無視されたりするのだが、それでもランボは諦めずにリボーンを襲撃し続けている。
 本当はドン・ボヴィーノからも「もうリボーンは狙わなくていい」と言われているのだが、幼い頃から襲撃を続けているせいですっかり習慣になってしまっていた。
 しかし、それ程の執念を持って襲撃をしながらも、尾ひれを引かないのがランボである。
 襲撃を終えたランボは、すっきりした表情でボンゴレ幹部達と紅茶を楽しんでいるのだ。
 ランボの目の前のソファには、先ほど襲撃したばかりのリボーンがゆったりと座って紅茶を飲んでいる。
 先ほどは襲撃の仕返しとしてリボーンに殴られてしまったが、今のランボはそれを忘れたかのように周囲に笑顔を振り撒いていた。そう、ランボがリボーンを襲撃する事が習慣なら、リボーンがランボに倍以上の反撃をする事もほとんど習慣なのだ。だからランボはすっかり慣れてしまっていた。
 今のランボは、ミルクをたっぷり淹れたアールグレイを飲み、「美味しいです」とのん気に紅茶とお喋りを楽しんでいるのだ。
 それは日常の光景だった。
 ランボがリボーンを襲撃するのも、そのリボーンから反撃を受けるのも、ボンゴレの者達と親しくお喋りを楽しむのも、全ては日常なのである。
 だが、日常の中には常に激変する瞬間が潜んでおり、その瞬間はいつ訪れるか分からない。
 そう、それは突如として訪れるものである。
 この瞬間にも。


 ――――ドオン!!
 ――――ドオン!!
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