■連載小説「トリプル・トラブル」
□トリプルバースデー (前編)
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――――5月21日。
3人のランボが誕生日を迎える1週間前。
「やっと眠った……」
ランボは自分の側で眠っている子ランボに目を細めた。
今の子ランボはベッドのシーツに埋もれ、指をちゅーちゅー吸いながら気持ち良さそうに眠っている。
そう、子ランボはお昼寝の時間なのだ。
そしてランボはというと、子ランボが眠るまで添い寝をしていたのである。
ランボは、子ランボがぐっすり眠っている事を確認すると静かにベッドから離れた。
気が付けば、側のハンモックでは子リボーンが昼寝をしており、「これなら大丈夫だよね」と安心して部屋を出る事にする。
昼寝をしているとはいえ子ランボの側から離れる事は不安だったが、子リボーンが側にいるなら安心だったのだ。
1歳児である子リボーンがいるから大丈夫というのは可笑しな事かもしれないが、実際にそうなのだからしょうがない。
そもそも子ランボとて、本来なら添い寝など必要無い年齢である。実際にランボが10年前の記憶を辿れば、5歳の頃から自分は一人で眠っていた筈なのだ。
だが、子ランボはこの世界に飛ばされて来てからというもの、やはり今の状況を少しは不安に思っているようで、時々とても甘えたがりになる事があった。添い寝が必要になっている事も、不安な思い故のものなのだろう。
だが、そんな子ランボも子リボーンが側にいると普段の元気を損なわないのだ。
昼寝から一人で目覚めても、子リボーンが側にいればウザがられながらも周りをうろちょろしているのである。
子リボーンがいなければ「が・ま・ん」と言いつつ泣いてしまうが、それでも子リボーンがいれば平気なのだ。
こうした年少組の関係にランボは苦笑を覚えつつも、眠る二人を起こさないように静かに部屋を出たのだった。