今日は無花果、昨日は葡萄、その前は洋梨のタルト。 「どれも今だけの、期間限定なのであります」 何だよそれはと訊けば、一定期間しか手に入らない代物なのだと、答えが返ってきた。 「だからこそ、貴重なのであります」 ふーん、と興味なさそうな返事があり、クルルは部屋を出て行った。 そういう気持ちを理解して貰おうとは、端から思っていない。 そんなケロロが後悔したのは、翌日一通のメールを残し、彼が居なくなってから。 「それじゃ俺も期間限定ってことで」と。 そんな言葉を残して、姿を消した。 あんまりだ。 食べ物と恋人では、全く意味が違うことくらい解るだろうに。 最初呆れる、次に怒る。そして次第に淋しくて堪らなくなる。 まさかこのまま帰らないつもりとか? 普通は絶対ありえないことが、普通に有り得る男だ。 不安に押し潰される限界の手前で、宇宙の果てから通信が届いた。 「まだ期間限定がいいのかい」と。 その声音はどこまでも底意地悪く。 「…もう懲り懲りであります…」 帰還後、全てはこの男の思惑どおりに進み、そしてそんな愛され方に馴染んでいる自分が、ちょっと恐いと思うケロロだった。 end |