966×K66@

□期間限定
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今日は無花果、昨日は葡萄、その前は洋梨のタルト。
「どれも今だけの、期間限定なのであります」
何だよそれはと訊けば、一定期間しか手に入らない代物なのだと、答えが返ってきた。
「だからこそ、貴重なのであります」
ふーん、と興味なさそうな返事があり、クルルは部屋を出て行った。
そういう気持ちを理解して貰おうとは、端から思っていない。
そんなケロロが後悔したのは、翌日一通のメールを残し、彼が居なくなってから。
「それじゃ俺も期間限定ってことで」と。
そんな言葉を残して、姿を消した。
あんまりだ。
食べ物と恋人では、全く意味が違うことくらい解るだろうに。
最初呆れる、次に怒る。そして次第に淋しくて堪らなくなる。
まさかこのまま帰らないつもりとか?
普通は絶対ありえないことが、普通に有り得る男だ。
不安に押し潰される限界の手前で、宇宙の果てから通信が届いた。
「まだ期間限定がいいのかい」と。
その声音はどこまでも底意地悪く。
「…もう懲り懲りであります…」
帰還後、全てはこの男の思惑どおりに進み、そしてそんな愛され方に馴染んでいる自分が、ちょっと恐いと思うケロロだった。





end


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