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□‥誘惑
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とうに気付いていた。
暗闇の中、息を殺し見つめる視線に。
ましてやゼロロが気付かない訳がない。
アイツも見られていることを承知で抱いていたということかな。

宿泊所の固い寝床の軋む音の中で掻き消されたお前の息遣い。
一体どんな顔をして見ていたんだろう。
同性の幼なじみ同士の猥褻行為を。

アイツは熱い奴だけど、色事には奥手だ。
俺達を咎めることも誰かにも相談することもきっと出来やしない。

ギロロは律義なヤツだから…

今頃どんな顔をしているやら。
想像しただけで、躰の奥がムズムズとする。

だったら…
いっそ誘ってみようか?
お前がどんな反応をするのか…想像すると、ちょっと楽しい。

行き過ぎた悪戯だとわかっているけど、殺伐とした日常の中では、たまにはこんな刺激も必要じゃないか?

そう、これは悪戯。

仕掛けるのは俺。

そして、堕ちるのは、お前……


誘惑――


背徳な響きを持つ、なんて甘美な悪魔の囁き…


ギロロ…

長い付き合いの中で、今まで見せた事のないような顔を見せてくれよ…



俺は深夜の廊下を足音を殺しながら歩いた。
妙な興奮に上がる息を抑えながら。

ゼロロは明け方から訓練だそうで、今夜は一回イッてイカされて終わりだった。
余力は充分ある…

ギロロの部屋も同室者は皆脱落して一人部屋だった。
今回の訓練は選抜も兼ねてるから、既に最初の参加人数の半分以下になっていた。
そのうち部屋を纏められそうだから、これを逃したらチャンスはないかも。
そういう時は誰しも大胆になれるもんだと、都合良く考える。


ドアの前に立って聞き耳を立てると、僅かに物音がする。
ギロロがまだ起きているのは間違いなさそうだ。
興奮して眠れないとか?

そっと扉を開けギロロの名を呼ぶ。

振り向いたギロロの顔は、この世の終わりみたいな絶望的な顔をして引き攣っていた。

俺も相当変な顔をしていたと思う。
後ろ手にゆっくりドアを締めながら、目はギロロの下半身に釘付けになった。

ギロロの手の中のものは、既にいい感じに熱り立っていた。
血管の浮き上がった立派な大きさの雄の象徴に目を見張り、ゴクリと生唾を呑み込んだ。

それにまさかギロロが一人でヌイてるとまでは思っていなかったし。
もう…引くに引けない。
ああもう、なるようになれ。

俺はゆっくりギロロに近づいた。
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