GLL×K66

□夏休みの贈り物
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「ギロロなら出かけてしまっているよ」

ギラギラと灼熱の太陽が照り付ける昼下がり。
ケロンゼミのやかましい蝉時雨の中、ガルルは庭の樹木の陰に隠れているケロロを見つけ、声を掛けた。
このままでは日射病にでもなりかねない。
動かないケロロの背中を押して、家の中へ招き入れた。

冷蔵庫に冷やしておいた土産のカルプスΩをグラスに注ぎ、炭酸水で薄めて氷を数個入れたものをケロロに差し出した。
こういうところに遠慮はないケロロは、ストローでチューチューと凄い勢いで吸い込んでいく。
乳酸飲料特有の甘酸っぱさが乾いた喉を潤せば、自然に笑みが溢れた。

「ウチのよりダンゼン濃い!」

ケロロの家ではワンフィンガーが定番だが、これは倍の濃味がした。
それに炭酸で割っているので、味わったことがない美味しさだった。

「ギロロの兄ちゃん、ありがとう!」

ご機嫌のケロロは満面の笑みでそう言うと、ガルルはゆっくり頷いた。

「それはよかった。それはそうとケロロ君はギロロと喧嘩でもしたのかな?」

ケロロが思い切りギクッとした表情を見せたので、ガルルはやはりそうかと確信した。

昨晩からギロロは大層不機嫌だった。
どうしたのか聞いても、兄ちゃんには関係ないというばかりだった。

「…それでギロロとは仲直り出来そうかな?」

数分間押し黙っていたケロロは、じっとガルルの目を見つめた。

「…うん。カルプスΩもう一杯飲んだら仲直りしてやってもいい!」

ガルルはその無邪気さに笑いを零した後、ゆっくりと首を横に振った。

「二杯も飲んだらお腹を壊してしまうよ?」

おもむろにガッカリしたケロロの肩を軽く叩きながら、こんな提案した。

「ケロロ君、その代わり明日も家においで。そうしたらまた入れてあげるから」

ケロロは元気よく頷き、手を振って帰っていった。



翌日、ガルルを訪ねて来たケロロを、玄関でギロロが出迎えた。

「あ…」

互いに顔を見合わせた後、ケロロは小さな声で呟くように言った。

「…ごめん」
「もういいよ。それより早く上がれよ、兄ちゃんがカルプスΩ入れてくれるって」
「うん!」

外はやかましいほどの蝉時雨。
白く甘酸っぱい炭酸水がもたらした仲直りは、夏休みの贈り物。




end



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