GLL×K66

□深海ニ眠ル★★★
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「ん…」
不可思議な感覚に見舞われ、ケロロは重い瞼を開いた。
腹部に不自然な重み、股関節が痛いほど突っ張り、呼吸が苦しい。
むずむずした感触、やけに肌が熱い。体温調節機能が壊れたみたいに、やたらと下肢に集まる熱。
聞き慣れない音を目線が追う、自分の身に起こっている変化を確かめるために。そして、全身が総毛立つ。

「っ、なっ!」
目が眩むような眼光。美しい金色と、そして一点の緋色。紅蓮の焔を宿す瞳が、そこにある。見据えられただけで射殺されそうだ。
「…私の想定より早いお目覚めだな。まあこれだけ感じていれば、君の内部が黙ってはいないだろうね」
革張りの上質な椅子の上に座らされていた。但し椅子の質感を楽しめるような状況ではない。
両足は開かされ、肘掛けに乗せられていた。両手はだらりと下がったままで、脚にも腕にも全く力が入らない。自由になるのは首と両肩、足先が僅かに動く。不自由な格好でケロロは呻いた。

「な、何でっ…」
こんなこと。言葉に詰まる。恐怖と嫌悪感。衝撃に耐えられず、唇がわななく。
恥辱を受けているという状況の認知を思考が拒む。けれど、血が集まる場所がはしたなく滴る露にまみれている。身体と心がバラバラだ、裏切られた心が悲しい。
ガルルの指は竿を弄り、そして後ろにある窄まりにも指を這わせている。
四肢は思うように動かないくせに、ゾクゾクする感覚は身体中を駆け巡る。そして刺激に足先が跳ね、腰が揺れる。
孔の回りで円を描いていた指が狭い入口を押して、滑りを伴って差し込まれた。
悲鳴、更に指が押し込まれ、また悲鳴は続く。

「そんなに聞かせたいのかな、君の声を」
えっ?と尋ねる間も与えずに、ガルルがボタンを押せばシャッターが開いた。
「やっ!」
止めてという声さえ振り絞ることが出来ない。
巨大な一枚ガラスの向こうに、ガルルの部下たちがいた。すぐにそれがマジックミラーの構造になっていることは、彼らが無反応である様子で分かる。
しかし音声だけはすぐ近くに聞こえている。彼らの話し声がリアルで、ガラス越しではなくすぐ傍にいるような感覚に震えた。
タルル上等兵とトロロ新兵が言い合いをしてプルル看護長が咎め、そしてやがて笑い声に変わる。
和やかな雰囲気と我が身に起こる狂気の差が、おぞましい。ガラスひとつ隔てただけで、こんなにも。
涙が溢れた。はち切れそうな屈辱と恥辱。悲しくて恥ずかしくて、意識が破裂しそうになる。

「案ずるな。彼ら…いや彼女には君の声すら聞こえない。私がこのボタンを押さなければ…の話だがね」
そう言いながら、ガルルの指はボタンの上を行き来する。あれは押せば、どうなる?それは冷たい金色の瞳が教えている。
そんな事をしたら、アンタだって終わりじゃないか!
抗議の目はすぐに絶望に変わるのだ。消えない微笑みに滲む凶悪な光。ガルルはそれすら恐れていない。恐れていないからこそ、こんな行動に出れるのだ。
そして最後の抵抗は地に落ちた。ガクリとケロロの頭が項垂れる。

「…君はやっと置かれた立場を理解したようだな」
「どうして…」
どうしてこんな酷い事を?分からない、理解出来ない。ガルル中尉が自分を凌辱する理由なんて思い付かない。
ただ涙が零れ落ちる。幾筋も幾筋も、止める理由がない事を知っているかのように。

ああ、お前には分かるまい。
心中で呟きながら両腕で腰を抱きかかえれば、ケロロの尻が持ち上がる。
自分と同じ身長も体重も障害にはならないくらい、ケロロの身体を軽々と抱え上げた。
怒張した熱をあてがい、抗う襞を食い破るように腰を押す。拒む括約筋を力付くで退け、湿った内壁に身を押し込んだ。
あまりの痛みに泣き叫ぶのも無視して、楔はケロロを貫いた。
恐怖と憎しみに歪み、涙でぐしょぐしょになる顔を見ても、ようやく繋がることが出来た悦びに充ちた己の心に満足した。

「まんざらでもないのだろう、少なくともお前の身体はそう語っている」
雄の性器を奥まで呑み込んでなお萎えない自身に、ケロロは瞠目した。
「ウソだ…」
信じがたい、それを見てガルルは高らかに笑った。
お前は今からもっと思い知るのだ。お前が誰のものかを、な。
腰を引き、奥まで穿つ。ゆっくりと出て行き、再びゆるゆると中を掻き回す。
ケロロがビクンと身体を揺らし、背中が反る。
筋肉の緊張が緩んでいる身体は気だるく、ガルルを飲み込んでいることに容易く慣れようとしていた。そしてそれだけではなく、体液で滑る雄に擦られる刺激を受け入れ始めていた。小刻みに蠕動し、ガルル自身を離すまいと吸い付くように取りすがる。

「ふっ、んっ、んっ…」
声を押し殺しても、甘い吐息のような喘ぎが漏れる。
屈辱感が羞恥に変わり、快楽に屈しまいとする理性が無駄な足掻きを繰り返す。
ケロロの変化にほくそ笑み、形ばかりの抵抗しか示さない身体を持ち上げ体勢を入れ替えた。
「あぁっ!」
そのまま激しく突き上げられ、ケロロは大きく背中を撓らせた。
今度は背中側から抱きかかえられ、両脚はガルルの腹を跨ぐように大きく広がった。ガルルの腕が後ろからケロロの勃ち上がった欲を刺激する。
たまらず暴走する熱は理性を破壊し、ガルルの指の間から激しく飛び散った。根元から絞られ、中のガルルを締め付ける。脈動を感じた後にガルルが放ったものを奧で受け止め、ガクガクと大きく痙攣したまま、背を抱く腕に倒れこんだ。
気分が悪くなるくらい鼓動が激しい。排泄器官を犯されたまま、ガルルの指でイカされてしまった。悔しい、悔しい。理不尽な行為と、それに感じてしまった自分が、悔しい。

「どうだね、気分は」
最悪に決まっている。流れる涙を拭う気力も無く、ケロロはただ茫然自失したまま項垂れていた。
「前を見たまえ。彼女を汚したお前の気持ちを是非訊いてみたいものだが」
心臓がドキリとして、ケロロは息を大きく吸い込み目を上げた。
今、何て?
そして前を見つめて喉を引き攣らせた。
そこにあるのはスクリーン状の一枚ガラス。そこにいるのはガルルの部下たち。こちらの様子に気付くことなく、歓談する彼ら。満面の笑顔を浮かべる彼女の顔のあたりに、ケロロの白濁が飛び散っていた。

「あ、あ、あ…」
唇が震え、また涙が溢れた。悔しさから、悲しみに変わる涙が。
体勢を入れ替えられ、彼らに向かって脚を開いていたことすら気付かなかった。スピーカーから流れていた筈の彼らの声も耳に入らなくなっていた。
結局最後は快楽に溺れて、彼女の顔面に向かって射精させられた、なんて。

「な、なんで…こんな、ヒドイ…」
震える身体をガルルは抱きしめた。
分かっただろう?お前は、私に逆らうことなど出来ないのだ。
「もう…帰して」
必死に声を絞り出す。今はもう、一秒でも早くここから逃げ出したい。そう思うことが精一杯だった。
「では地球まで私が送ろう」
「…結構であります」
「動ける身体ではなかろう。私が送るのが嫌なら、部下に送らせるが」
「そ、それは嫌だ!」
激しく身じろぎ、落ちそうになる身体を支える。
「は、離す…であります!」
「そう拒むな、ケロロ。…離したくなくなる」
金色の瞳が妖しい光を纏う。ケロロは叫びだしたい衝動を必死に抑えた。







二人乗りの小さな宇宙艇が日向家の近くに降り立ち、ケロロはよろめく足で地に立った。
「また、逢おう。待っている」
「……もう」
逢いたくない、であります。
何度も抱かれた身体は、奧まで今でも火照っている。
これ以上は、危険だ。
心が拒否をしても身体が、覚えさせられた快楽を欲してしまうかもしれない。
だから、もう会わない。会わない、会わない。

「…またすぐに逢うことになるのだよ、ケロロ」
もうお前に逃げ道は無いのだ。
ガルルは愛情に満ち溢れた視線で、日向家に向かうケロロの背中を見つめていた。
深い深い闇色の海底、お前の瞳のような深海に、私同様、お前も囚われの身となってしまったのだ。
太陽の光が届くこともない、救いの無いこの世界で、私と眠ろう。





fin



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