女神はマの付く高校生!
□彼女はマの付く…?
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慎重に響く琵琶の音が、一つ。
そこにある影は三つだ。琵琶を弾く少女は柳眉を寄せ、撥を左膝の上に置いた。
「ーー歯車が、引き寄せ合ってる」
「おや」
些かぶすっとした表情での報告に、向かいに座っていた青年は目を丸くした。
「あまり嬉しくなさそうだな」
「俺にもそう見えるが」
「……時期が」
不機嫌を隠そうともしないで、少女は口を開く。
青年と、もう一人少女の傍らにいた式服の男は顔を見合わせた。ここまで彼女の機嫌が悪いのは珍しい。
二人の様子を気にも留めず、少女は片目を閉じた。
「時期が少しばかりずれていて、双黒のお二方が揃うのが先になりそうなんだ」
「ああ、なるほどーー世来? それはまさか、一人であちらへ向かうという意味か?」
式服の男が、僅かに狼狽したように彼女に問うた。当たり前だろう、彼女は彼の友なのだから。
少女はしかし、それをあっさりと躱して是と答えた。
「やっと、あたしの王となれる人が現れたの。駄目って言われても行くよ。君たちがあたしと共にいるようにね」
彼女はマの付く霊力者