高校二年生編(キッド誕生)

□弱点の有効利用
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あなたに愛を唄う 4
−弱点の有効利用−



つまんねー。なんかつまんねー。

イングラム公国のセリザベス女王陛下を乗せている、高級列車ロイヤルエクスプレスにゆられる俺の頭の中を占めているのは、今日どうやってクリスタルマザーを盗み出すかということではなく、椿かなえという幼馴染についてだ。

あいつは気まじめすぎる。
どれだけ生真面目かというと、俺が青子に頭をさげて取ってもらったこの列車のチケットを、

『陛下と一緒の電車に乗りたいし、直にお目にかかりたいのは山々だけど、キッドになるときにあまり一緒にいない方がいいかなって思ってー。
ほら、疑わしい人物のアリバイ証言って信用されないじゃない?だからなるべく距離とったほうがいいでしょ?』

っといってあっさりと断ったくらいに気まじめだ。
もうすでにチケットを取ってあるといっても、それじゃあ、当日用事ができたといって断ると言われた。
別に俺と一緒に行きたくないから断ったというわけじゃないと頭ではわかっていても、気分は落ち込む。

「もーいつまで拗ねてんのよ」

色々考えていたら、青子がうっとうしそうな視線を俺に送ってきた。

「この列車に乗りたいって言ったの快斗でしょ?乗れたんだからもうちょっと・・・」

文句を言いだす青子の言葉を、聞く余裕すらなく、俺はかなえについて考える。

こいつも一応女なんだぞ?二人で旅行ってシチュエーションに、かなえはなんとも思わないのか?青子の親父さんもいるけどよー・・・。

いや少なくとも、なんとも思ってない奴のために、間違えれば逮捕されるようなこんな危険な事に首を突っ込まないはずだ。
とすると、俺たちの幼馴染という関係がその辺をマヒさしているのか?

「ちょっと聞いてるの快斗!!」
「へいへい。聞いてますよ」

とりあえず、気持ちを切り替えて、今日の仕事に集中すっか。これで失敗したら、きっとかなえの説教待ちだからな・・・。
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