高校二年生編(キッド誕生)

□後編 最強コンビ
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怪盗キッドの瞬間移動魔術
後編 : 最強コンビ




「なあ、名探偵。知ってるか?サーストの三原則・・・」
「ああ。20世紀の初めに活躍した奇術師ハワード=サースト。その他を冠して定義づけられた3つの原則。マジックでやっちゃいけない、3つのタブーのことだろ?」

「その通り。一つ目は、奇術師はタネあかしをしてはならない。これはいわずもがな。二つ目はマジックを披露する前にこれから起こる事を説明してはならない。意外性がなくなり驚きが減ってしまうからだ。そして三つめ・・・」


「同じマジックを二度繰り返してはならない」
「!」

「一回きりだとそのマジックを強烈に印象付けて美化させ、最上の奇跡の記憶として客の心に残せるが。二度つづけると客はその印象を楽しむより、タネを見破る事に神経をそそいでしまい、タネが見破られる危険性が高まる」
「なるほど。逆に言えば、そのタブーを冒してもなお見破られなければ、最高の奇術になるってか?」

「そ・ゆこと」


『そ・ゆこと、じゃない』

コナンに着けられた盗聴器からの声を拾ったかなえが一人突っ込みを入れた。

かなえが座っているのは、銀座の交差点よりすこし離れた高いビルの屋上の縁。

びゅーっとビル風がかなえのポニーテールをなびかせていく。

かなえの髪はボブだ。しかしキッドと行動をともにする時は正体がばれないよう、漆黒のポニーテールのかつらをかぶり、黒い装束に身を包んだ姿をする。

黒いチェニック。胸下にリボンのひもがあり、それを背中で結ぶデザイン。下はくるぶしまでの黒のレギンス。背中のリボンが風にのってひらひらとはためいている。

その様がアゲハの羽のようだと快斗が言ったのは、ずっと前の事。なんだか気にいって、それからはキッドのパートナーとして行動するとき、この服を愛用している。

『なーんでわざわざ挑発しにいくかね・・・』

サポートする私たちの身にもなってほしい。かなえはテレビ局のスタッフになっているもう一人のパートナーである寺井を思い浮かべた。

頭髪が生き残るかどうかは快斗次第かもしれない。
失礼な事をこそっと思う。

『とにかくどうか・・・ばれませんように』

まだコナンは仕掛けを見破っていないようだが。油断はできない。
かなえは手を合わせてどこかにいる神様に向かってお願いした。
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