高校二年生編(キッド誕生)

□勝ち目のない勝負
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あなたに愛を唄う22
彼から手を引いて
−勝ち目のない勝負−



「きゃああああああ・・・」

ゲレンデに響き渡る悲鳴。殺人事件が起きたわけじゃない。


見事に倒れている快斗と青子の姿を発見。本日これで4回目だ。
そのこけっぷりに、ゲレンデのはしっこで、ぷぷーっっと一人噴き出して笑ってしまった。

「いいかげんにしろよな!!さっきから俺にばかりぶつかりやがって!!」

立ち上がった快斗が怒鳴る。

「しかたないじゃない・・・。青子は初心者なんだから・・・」
「むこうで滑れよ!!」

同じく立ち上がった青子が、生まれたばかりの鹿の赤ちゃんみたいにぷるぷると足を震わせて、必死で立ったままの状態をキープしようとしている。でも、またすぐに尻もちを着いて倒れた。

「まったく下手だな、てめーは!」
「なによー、青子だって一生懸命やってんのよ!」


バレンタインのイベントも無事終わり、その翌週にやってきたイベントはスキー教室。
早朝5時に駅に集合。電車とバスでスキー場にやってきた私たち古江田高校2年生。

午前中はインストラクターの元、スキーの基礎を習って、午後は各自自由練習になっている。

そんな午後の自由練習時間中、私は滑らずに、ゲレンデの端っこで雪だるまを作っている。どうしてかというと、練習開始しょっぱなから腰を抜かしてしまったから。

実は私・・・スキーとジェットコースター系が大の苦手だったりする。

だからって学校行事をさぼるわけにもいかない。とりあえず普通に参加。しかし、滑ろうとした瞬間、その場に崩れてしまった。

腰が抜けて立てなくなった私を、レスキューの人がスノーバイクに乗せて、医務室まで担ぎこんでくれて、先生に事情を話した結果、とりあえず見学ということになった。
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