長編

□幻想ー儚く散る華・可憐に舞う蝶ー
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風の音で目が覚める。
いつまでも、心に残る彼女の記憶の断片。
蝶が舞うように美しく、甘美なその舞いは誰もを魅了する甘い罠の様に、そして、彼女の散り方さえ、華が散るように儚い……まるで幻想の世界に迷い込ん錯覚さえ覚えるような……。

「京都から転校してきた、雪村雛菊さんや。仲良うするように。」
彼女が転校して来たんは、俺が2年のころやった。
「京都から転校して来ました。雪村雛菊です。どうぞ、よろしくお願いします。」
京都から転校して来たのにえらい流暢な標準語話すんやなぁ。
最初の彼女のイメージが、こんなんやった。

「なぁ、知っとる?笑わへんちゅう話やで?」
「聞いた、聞いた。あの校長のギャグを笑わないで流したらしいで?」
「嘘やろ?」
そんな噂が出だしたのは、彼女が転校してきてから1週間経ってからやった。

「財前みたいなのが転校して来たんやな。」
「ほんまに笑わんのか、うちがためしてくるわ。」
と金色が彼女を笑わせに行ったが、結果は、財前時とあまり変わらんかった。
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